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ギリシャ型「政府債務信用不安」の実相
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崩壊危機でもユーロに参加する事情
ユーロ圏の崩壊を危ぶむ声も聞かれるなか、ユーロ擁護派が勢いづく決定が発表された。エストニアが導入基準を満たしたとして、正式参加を7月に認められる見通しとなったのだ。これでユーロ導入国は17カ国になる。「ユーロ圏を脱出する国々の行列などない。参加を待つ行列があるだけだ」と、オリ・レーン欧州委員(経済・通貨問題担当)は誇らしげに語った。
もっとも、エストニアには特殊な事情がある。既に通貨クローンはユーロに連動しており、ユーロを導入した場合と同様のリスクを経験している。しかも貿易頼みの小国にとって、主要通貨圏に入ることは魅力的な選択肢だ。
受け入れ側も消極的に
これとは対照的に、他の未参加国はますます及び腰になっているようだ。イギリスとデンマークを除くすべてのEU(欧州連合)加盟国は、必要な経済条件を満たした時点でのユーロ導入を義務付けられている。しかし、ポーランドやチェコでは導入支持の世論が約40%にまで低下し、政府は導入延期を打ち出している。
腰が引けているのは受け入れ側も同じだ。「ギリシャの亡霊にたたられて、新メンバーの受け入れに非常に消極的になっている」と、欧州改革研究所(ロンドン)のサイモン・ティルフォードは言う。
[2010年6月 9日号掲載]