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【事例3】5000人のコンサル脳を仮想結合
世界中の社員を「集め」、3日間で2カ月分のブレインストーミングを達成
パリに本社を置く国際ITコンサルティング企業ソジェティは08年4月、世界14カ国に抱える社員1万8000人が参加できるバーチャル・ブレインストーミング・セッションを実施した。事業の改善点について多様なアイデアを集めるためだ。
この「革新ブレスト」の運営を任されたのがマーケティング部門のマネジャーを務めるルネ・スペールマンだった。「小さな会議室にいるような感覚で、何千人もの社員が共有できるセッションを目指した。巨大な組織の中で社員が互いの考えに触れたり、それを活用することができず、多くの優れたアイデアが埋もれていると感じていた」
社員が好きなときにログオンしてプレゼンテーションの動画を見たり、リアルタイムでコメントを投稿したり、特定のプロジェクトを評価できるようにする──。これらを実現するために特別に開発されたのが、3日間限定で機能するクラウド・コンピューティングサービスだ。
「どれだけの人がログオンするか分からなかったので、クラッシュしないよう高水準の性能を備えておく必要があった」と、スペールマンは言う。実際、最初の2時間で1万2000件以上のコメントが投稿され、2000件以上のアイデアについてリアルタイムで議論が行われた。
必要なときにいつでも使える
幹部たちは、そのすべてをパリの「作戦司令室」で観察。部屋にはビデオリンクでオンライン討論の映像が流され、幹部らが参加者に質問したり、投稿されたアイデアにコメントできるようになっていた。3日間72時間で、約5000人の社員が参加したという。
スペールマンは、このブレストで社の生産性が大幅に改善されたと語る。マーケティングや企業の社会的責任に関する戦略、環境問題への関心をどう事業につなげるか、などについて「多くの新しいアイデアを集め、評価することができた。通常なら2カ月かかるところだ」。
この試みには、仕事とプライベートの柔軟な切り替えを実践するという意味合いもあった。社員はエントリーコードさえ打ち込めば、自宅とオフィスどちらからでも都合のいい時間にログオンすることができたからだ。
成功したとはいえ、実現までの準備には膨大な時間が費やされた。「クラウド・コンピューティングを活用したブレストは3年に1回程度でいいだろう」と、スペールマンは言う。「必要なときにだけ利用すればいいところが、クラウドの素晴らしさだ」
[2009年10月28日号掲載]