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グリーンニューディールに期待し過ぎは禁物
オバマ政権の目玉「グリーンニューディール」の意外な悪影響
バラク・オバマ米大統領が提唱する政権の目玉政策「グリーンニューディール」に、世界中の関心が集まっている。オバマの打ち出したこの環境エネルギー対策は、2019年までの10年間で1500億ドルを費やし、環境に配慮した再生可能エネルギー、太陽電池、風力発電、バイオ燃料、水素エネルギー、低燃費車などに投資する内容。これによって500万人の雇用を生み出すという。
「グリーンニューディール」という呼び名は、アメリカで29年に始まった大恐慌への対策として、フランクリン・ルーズベルト大統領が実施した経済社会政策「ニューディール政策」にちなんだ。フーバー・ダムやテネシー渓谷開発公社など大規模な公共事業で需要と雇用を創出した。
グリーンニューディール政策はつまり、ルーズベルトの行った大規模な需要喚起・雇用創出策を、環境エネルギー関連産業の振興によって行おうというものらしい。財政出動で景気回復に寄与しながら、新産業の立ち上げで産業競争力を強化、環境対策にもなるという一石三鳥の策だ。
例えば、環境技術への対応の遅れが経営危機に拍車を掛けているビッグスリーが必要とする強力な燃料電池の開発などに資金を出すこともできる。
さらに中東の石油への過剰なエネルギー依存の転換にもなる。原油価格は、08年夏に史上最高値の150ドル近くまで上がったものの、現在は1バレル=50ドルほどで落ち着いている。だが、新興国経済の成長が回復して石油需要が増加するため、将来的に再び高騰するとみる識者は多い。
一方でグリーンニューディールにも意外な悪影響があるのではと心配する声がある。エタノールなどのバイオ燃料を奨励する補助金が農家の食用作物からバイオ燃料用作物への転換を招き、結局、食料価格の高騰につながったように。
グリーンニューディールの景気刺激策としての役割も疑問視されている。7870億ドルの景気対策法に盛り込まれたのは、自動車用バッテリー開発など新エネルギー技術支援費約300億ドルで、全体の4%未満にすぎない。景気対策の8割近くは減税と医療・学校などへの援助。それぞれ3000億ドルも割り当てられている。
[2009年4月15日号掲載]