最新記事

オーストラリア発、CO2削減大作戦

コペンハーゲン会議
への道

CO2削減と経済成長のせめぎあい
ポスト京都議定書の行方は?

2009.07.03

ニューストピックス

オーストラリア発、CO2削減大作戦

温暖化対策の最後の一手であるCCSの商業化をめざす世界機関を設立せよ

2009年7月3日(金)12時39分
ケビン・ラッド(オーストラリア首相)

 私の政権は07年12月に発足し、まず京都議定書を批准した。重要な問題だとはわかっていたが、数日後にバリ島で開かれた気候変動に関する国連会議に出席すると、その反応の大きさに驚かされた。

 温室効果ガス削減の枠組み作りに向けた議論は行き詰まりかけていた。オーストラリアの批准が状況打破のカギになる----参加者のそんな期待があれほど高まっているとは予想していなかった。

 バリ会議はロードマップの採択にこぎつけた。オーストラリアは京都議定書への参加こそ遅かったが、09年にデンマークのコペンハーゲンで開催される国連サミットに向けて、とくに炭素回収・貯留技術(CCS)の開発では先頭を走ろうと決意している。

 最近の報告書によると、温室効果ガスの排出量の増加とそれによる深刻な気候変動は、予想より悪化しているかもしれない。化石燃料による二酸化炭素(CO2)の排出は、温室効果ガスのうち最大で、最も急速に増えている。

 世界が低排出エネルギー経済に移行することは不可欠であり、その移行においてオーストラリアはしかるべき責任を果たす覚悟だ。

 オーストラリア政府はCCSの開発を世界規模で進める構想を提唱している。CCSは、石炭火力発電所など化石燃料を処理する産業施設の段階でCO2を回収し、大気中に排出させない。回収したCO2は適切な場所に運び、地中に長期的に封じ込める。

 このCCSがなぜ重要で、なぜオーストラリアが先導しなければならないのか。世界のエネルギー需要は05〜30年で推定55%増える。再生可能エネルギーの利用も増えているが、化石燃料、とくに石炭は、今後数十年は世界の主要なエネルギー源であり続けるだろう。

 世界のエネルギー関連のCO2排出のうち、約40%が発電による。温室効果ガスの排出を世界的に削減する主要なモデルはすべて、削減量のうちかなりの割合をCCSで達成しようと計画している。

世界最大の石炭輸出国

 CCSは科学的にも技術的にも実証されており、試験計画や実証プロジェクトも数多く行われているが、商業化された総合的なCCS発電施設はまだ稼働していない。08年7月のG8サミット(主要国首脳会議)では、10年までに世界で20のCCS関連プロジェクトを開始することが宣言された。

 オーストラリアはこの計画の推進にふさわしい場所だ。石炭エネルギー経済で、世界最大の石炭輸出国でもある。一方で幅広い研究と実証プロジェクトを通じ、CCSの専門知識をかなり蓄えてきた。CO2の貯留に関しても法体系を整備している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日本の働き掛け奏功せず、米が相互関税24% 安倍元

ワールド

ロシアが企業ビル爆撃、4人死亡 ゼレンスキー氏出身

ビジネス

米関税24%の衝撃、日本株一時1600円超安 市場

ワールド

米連邦地裁、収賄疑惑のNY市長の起訴棄却 政権の「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中