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日本人 part2
文化と時代を超えたジャパニーズたち
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栗原はるみ(料理研究家)
海を渡るキッチンの麗人
グルマン世界料理本賞の大賞に『栗原はるみのジャパニーズ・クッキング』(日本語版・扶桑社)が輝いたのは昨年2月のこと。世界で年4000冊以上の料理本が登場することを思えば、これは快挙といえるだろう。
イギリスでの評判にもプラスに働きそうだ。版元は英デザイン界の巨匠テレンス・コンランが創設した出版社コンラン・オクトパス。9月には、同社から第2弾『はるみのジャパニーズ・ホーム・クッキング』が発売された。栗原は70種以上のレシピに加えて献立のヒントやテーブルの演出法を紹介する。
とはいえ、和食はまだまだマイナーな存在。『栗原はるみのジャパニーズ・クッキング』は批評家の受けもよく、ロンドンのメディアは「日本のマーサ・スチュワート」をこぞって取り上げたが、売り上げ部数は期待したほど伸びなかった。食材が手に入りにくいのも難点の1つ。和食は面倒でむずかしいというイメージもある。普通のイギリス人はわざわざインゲン豆のスジを取るようなことはしない。
それでも、日本料理を一般に広めようとする栗原の努力は専門家の間で多くのファンを集めた。「うちの店で出すタイプの料理ではないかもしれないが、味は素晴らしい」と語るのは、ロンドンのおしゃれな和食レストラン「ズマ」の料理人、コリン・クレーグだ。「食材をすべてそろえて作るとなると、ちょっと冒険心が必要になるけど、それも楽しみのうちだよ」
「ミソやみりん、カツオブシなどの材料をそろえさえすれば、彼女のレシピは簡単だ。(人気の日本食レストラン)ノブ風の料理が出来上がる」と、フードライターのトム・ジェーンは言う。
新しい料理本は果たして売れるだろうか。食のトレンドが栗原に味方しているのはまちがいない。「寿司ブームを背景にイギリス中に和食レストランが続々とオープンしている」と語る料理ライター、トム・フォートによれば、イギリス人に足りないのは「(和食に対する)深い知識」だとか。知識こそ、栗原の最も得意とするところだ。