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パックンの風刺画コラム Superpower Satire (USA)
戦争を正当化したラムズフェルドの「名言」が、自らを苦しめる(パックン)
©2021 ROGERS-ANDREWS McMEEL SYNDICATION
<イラク戦争当時に発した、かの有名な「知らないと知らない」発言が表すラムズフェルド元国防長官の人物像>
アメリカ人が2000年代に「ドナルド」と聞いたら、俳優のサザーランドさんやディズニーのダックさんを思い浮かべただろう。でも彼らよりも先に脳裏をよぎったのがドナルド・ラムズフェルドだった人も結構いるはずだ。
ラムズフェルドは1970年代にフォード政権でも史上最年少の国防長官だったので、00年代の登板は実は2回目。約25年ぶりにブッシュ政権で再び政界に登場したことになる。サンタナの音楽とほぼ同じタイミングで返り咲いたのだ。
ブランクの間は製薬会社や機器メーカーのCEOとして次々と会社を大成功に導いた手腕の持ち主だった。長官としては、米軍が機動的に作戦を実行できるように国防総省の大胆な改革に取り組んだ。ビジョンも才能も、活動力、影響力もあったそのラムズフェルドは6月29日に亡くなった。
では、なぜ風刺画では彼が地獄に降りるシーンを描いているのか。それは、ラムズフェルドがイラク戦争の責任者の1人だからだ。2001年の同時多発テロの直後にラムズフェルドはイラクへの攻撃を狙い始めた。9.11と関係ないのに。
その後、攻撃の口実として、イラクの大量破壊兵器の所在を知っていると、ラムズフェルドは主張した。本当は存在もしないのに。そんなウソや勘違いに基づいた戦争は、8年間続いた。米軍の4000人以上、イラク国民の15万人以上が亡くなっただけではなく、地域が不安定になり、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭にもつながったとされる。
さらに、米軍が超法規的に大勢の「戦闘員」を拘束し、その一部を拷問したことも国際社会でのアメリカの評判を失墜させた。だからwarmongers(主戦論者)とtorturers(拷問する人)のエスカレーターにラムズフェルドは乗っている。
総合点として、イラクの侵略は「米史上最悪の判断」だったと、ある専門家は酷評する。そう断言したのも、もう1人のドナルド。つまり、トランプさん。歴史や外交ではなく「間違った判断」の専門家だけどね。
大量破壊兵器の証拠がないことについて聞かれたとき、ラムズフェルドは「知っていること」、「知らないと知っていること」、「知らないことさえ知らないこと」と、情報を3つの種類に分けて弁解をして、報道陣を煙に巻いた。これが彼を迎え入れるサタンの歓迎の言葉に使われている。
死者を風刺するのは不謹慎かもしれない。果たして罰が当たるのか、当たらないか。それも「知らないのを知らないこと」だろうね。
ポイント
WELCOME TO THE "UNKNOWN UNKNOWNS," SECRETARY RUMSFELD!
ラムズフェルド長官、「知らないことも知らない」世界にようこそ!