コラム

中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制度を利用するため彼らはやって来る

2024年11月14日(木)08時00分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)

東京へ移住した40代の中国人男性が、SNS動画で堂々と語ったこと

近年、中産階級以上の中国人富裕層の日本移住が増えているのはそのためだ。彼らの多くは日本政府の発行する経営・管理ビザを取得。建前は会社経営だが、実際は日本の国民健康保険や高額療養費制度を利用するために日本にやって来る。

東京へ移住した40代の中国人男性は、SNSの動画で堂々とこう語った。「500万円ぐらい出して日本で会社をつくったら、経営・管理ビザを取得できる。私は慢性的な病気があって病院に通わないといけない。もし日本に移住していなかったら、とっくに破産して人生のどん底に落ちていただろう」


同じ富裕層だが、誰にも迷惑をかけず外国で安楽死を選んだ上海の女性は非難するのに、日本の医療保険制度を狙って意図的に移住した男性は「賢い」「巧妙だ」と賛美する。自分の物は自分の物、他人の物も自分の物という「共産主義」の彼らに、日本人の医療財源を食いつぶして申し訳ない、という感覚はもちろんない。

ポイント

ディグニタス
スイス・チューリヒ州にある非営利団体。1998年から、耐え難い苦痛や障害を患い、自ら死を望む3700人以上の自殺を幇助してきた。スイスでは利己的な動機を持たない医師が致死薬を処方することが認められている。

高額療養費制度
医療機関や薬局の窓口で支払った額が、1カ月の上限額を超えた場合、超過額を支給する制度。100万円の治療費でも自己負担が8万円台で済むケースもある。

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プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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