プレスリリース

建設現場のデジタルツインを実現するプラットフォームを開発

2025年04月10日(木)11時15分
安藤ハザマ(本社:東京都港区、代表取締役社長:国谷 一彦)と株式会社WorldLink&Company(本社:京都府京都市、代表取締役社長:須田 信也)は共同で、建設現場でのデジタルツインを実現するプラットフォームを開発しました。また、現在施工中の大規模造成工事において本プラットフォームの運用を開始し、施工管理業務における有効性を確認しました。
本プラットフォームは点群をベースに仮想空間を構築したことで現場の変化を3次元的に捉えることができ、工程情報と連携させて施工の進捗率や今後の進捗を予測して利用者に提示するなど、単なる3次元ビューアとしてだけでなく、施工管理を支援するツールとして活用できます。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/432316/LL_img_432316_1.jpg
デジタルツインプラットフォーム

1. 開発の背景
少子高齢化に伴う担い手不足などの建設業界が抱える課題に対処するため、安藤ハザマでは「DXビジョン2030」(注1)を掲げ、先進技術を活用した新しい働き方の実現を目指しています。その一環として、現実に行われている従来業務を、デジタル空間に移行するデジタルツイン技術を建設現場に導入することで、データに基づく施工状況の把握・分析を行い、施工管理の省人化・省力化を図るため、独自のデジタルツインプラットフォームを開発しました。


2. 本プラットフォームの特長と大規模造成工事への導入による効果
本プラットフォームは、点群をベースに仮想空間を構築することで現場の変化を3次元的に捉えることができます。さらに、工程情報と連携させて施工の進捗率や今後の進捗を予測して利用者に提示するなど、施工管理支援ツールとしての活用も可能です。
本プラットフォームを活用し、実務でのデジタルツインの有効性を検証するために、以下の諸条件を抱える敷地造成工事(図1、図2)において導入した結果、現場所長や職員が現場状況を遠隔から詳細に把握し、各自の施工管理業務に役立てることができました。

・掘削で発生した土砂を重ダンプで場内運搬し盛土するため、施工中に地形が大きく変化する

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/432316/LL_img_432316_2.jpg
図1:対象とした造成工事現場(掘削の様子)

・重ダンプとの接触事故を防止するため他の現場車両の往来を制限しており、場内の移動に多くの時間を要している

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/432316/LL_img_432316_3.jpg
図2:対象とした造成工事現場全体図(場内運搬の移動経路)

本プラットフォームの詳細機能と、導入により確認された効果は以下のとおりです。

(1) 進捗管理の省力化
現場の計測で蓄積される点群から土量の変化(出来形)を自動算出し、施工実績を管理するだけでなく、現在の進捗率から今後の進捗を予想して、工程の遅延が見込まれる場合は該当工種を視覚的に目立たせ職員に対応を促すなど、リスク管理にも活用できます(図3)。
これにより、職員は土工事における日々の数量管理や計画に対する現在の進捗率を簡便に把握できるため、従来多くの時間を要していた数量算出の業務が削減され、安全管理や施工検討に注力することができました。現場所長や工事主任は工程全体を俯瞰して進捗状況を把握できるため、遅延リスクなどへの迅速な対応が可能となりました。

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/432316/LL_img_432316_4.jpg
図3:進捗情報を可視化したダッシュボード画面(1)

画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/432316/LL_img_432316_5.jpg
図3:進捗情報を可視化したダッシュボード画面(2)

(2) 現場確認・作業打合せの効率化
現場所長が遠隔地から仮想空間に再現された現場を巡回したことで、現地への移動にかかる時間を1回あたり約80%削減できました。また、毎日の作業打合せ(図4)では、元請職員と協力企業の職長がデジタルツインによって最新の現場状況を共有し、作業調整や指示を詳細かつスムーズに行うことで作業内容の理解度が向上し、手戻りや事故の防止につながりました。

画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/432316/LL_img_432316_6.jpg
図4:デジタルツインを活用した打合せの様子

(3) 現場データ取得の自動化による業務負荷の軽減
日々変化する現場の地形を適時デジタルツインの仮想空間に反映するため、自動運用型ドローン(注2)や職員が持つスマートフォンを利用した自動データ取得システムを構築しました(図5)。各デバイスによる計測からデータの生成、仮想空間での可視化、解析までのフローを自動化しており、利用者はわずかな操作を行うだけで、手間なくデジタルツインを活用できます。
これにより、上記(1)進捗管理や(2)現場確認・作業打合せを実施するための計測業務を従来と比較して80%程度削減することができました。

画像7: https://www.atpress.ne.jp/releases/432316/LL_img_432316_7.jpg
図5:計測デバイス(自動運用型ドローン)

画像8: https://www.atpress.ne.jp/releases/432316/LL_img_432316_8.jpg
図5:計測デバイス(タブレット)

3. 今後の展開
国土交通省が推進するi-Construction2.0(注3)の取り組みにおいて、デジタルツインによる施工計画や現場データ共有基盤の整備が今後10年程度のロードマップとして示されており、当社では本プラットフォームの活用展開によりいち早くその実現を目指します。そのために、トンネル工事やシールド工事などの他工種にも適用範囲を拡大し、建設現場で幅広く活用できる汎用的なデジタルツインプラットフォームを構築していきます。

(注1)安藤ハザマ「DXビジョン2030」
https://www.youtube.com/watch?v=8IsCm0oH06I

(注2)自動運用型ドローン
現場に設置した離発着基地にドローン機体を格納し、自動で充電・飛行計測・データ伝送を行うことができる。

(注3)i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化~
https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/content/001738240.pdf


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プレスリリース提供元:@Press
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