最新記事
シリーズ日本再発見

米記者が書いた、愛ある『マリオゴルフ』評

Mario’s Back on the Green

2021年08月31日(火)17時20分
ジム・ニューウェル(スレート誌記者)
ニンテンドースイッチ用『マリオゴルフ スーパーラッシュ』

マリオだけでなく、ワルイージ、ロゼッタ、ヨッシーらキャラクターのゴルフウエアにも要注目 CAMELOT SOFTWARE PLANNING/NINTENDOーSLATE

<ニンテンドースイッチ用ソフト『マリオゴルフ スーパーラッシュ』。スピードの要素が売りだが、やや急がせ過ぎの印象も>

新型コロナウイルスが世界に広がるなかで、マリオとその仲間たちは暇を持て余していたことだろう。さすがにこの感染症危機の最中に、いつものように誘拐と救出の冒険に精を出すのははばかられる。

そこで、キノコ王国の面々は久しぶりに昔の趣味を再開したようだ。その懐かしい趣味とは、ゴルフである。

6月25日に発売されたニンテンドースイッチ用のソフト『マリオゴルフ スーパーラッシュ』は、任天堂のゴルフゲームシリーズ『マリオゴルフ』の最新作。据え置き機向けとしては2003年以来、18年ぶりの新作だ。

この新作ゲームソフトについて論評する前に、登場するキャラクターとその「ゴルフウエア」を見ておこう。

まずマリオ。この超有名キャラクターは説明不要だろう。1つの会社を背負って立つことのプレッシャーは、相当なものがあるに違いない。ちょっとでもおかしな点があれば、世界中のメディアから何を言われるか分からない。

そのため、ファッションもどうしても無難なものにならざるを得ない。今作でもおなじみの赤のシャツに赤のキャップという姿で登場する。

【関連記事】ゲーム史の追憶番組『ハイスコア:ゲーム黄金時代』が残念な理由

スコアよりスピード?

マリオと敵対する悪役キャラクターのワリオは、ゴルフコース上では思い切りのいいプレーが身上だ。つばの大きな帽子をかぶっているのは、FBIの上空からの捜索で見つからないようにするためだろう。

ヨッシーのゴルフウエアは......いつもと同じように裸だ。マリオは、そんな姿を見て恥ずかしく感じているらしい。この件についてマリオにしゃべらせるには、クラブハウスでハイボールをおごって酔わせたほうがいいかも。

210720P58yoshi_MGF_04.jpg

CAMELOT SOFTWARE PLANNING/NINTENDO-SLATE

ワリオの相棒ワルイージの動きにくい服装は、豪快なスイングに適しているとは言い難い。忙しくて、着替えている暇がなかった?

210720P58waluigi_MGF_02.jpg

CAMELOT SOFTWARE PLANNING/NINTENDO-SLATE

そしてロゼッタ(日本国外ではロザリーナ)。このキャラクターは、ゴルフクラブを振ることすらしない。魔法の杖を振るうと、クラブが勝手に動いてボールを打つ。

ゴルフには魔法の杖の使用を禁止するルールはないかもしれないが、明らかにこのスポーツの精神に反している。でも、ロゼッタが私の苦言に耳を貸すとはとうてい思えない。

210720P58rosalina_MGF_03.jpg

CAMELOT SOFTWARE PLANNING/NINTENDO-SLATE

「スーパーラッシュ」という言葉が示唆するように、この新しい『マリオゴルフ』の大きな特徴はスピードだ。プレーヤーは、走りながらゴルフをプレーしているような感覚にとらわれる。

いくつかのプレーモードが用意されているが、その中でも「スピードゴルフ」というモードでは、スコアよりスピードが重んじられる。カップインするまでの所要時間をほかのプレーヤーと競い合うのだ。素早くプレーしないと、ペナルティーを科される仕組みになっている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 7
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中