最新記事
シリーズ日本再発見

日本の社会人の大半が自分の口臭を気にしている

2019年12月18日(水)16時35分
高野智宏

Tharakorn-iStock.

<歯ブラシやマウスウォッシュなどのオーラルケア製品から、錠菓(タブレット)、そして歯科の「口臭外来」まで。健康志向ビジネスの主戦場は「口の中」かもしれない>

芸能人やモデルの整った歯並びや陶器のように白い口元を見るにつけ、「芸能人は歯が命」という90年代中盤に流行したCMのコピーを思い出す。

一方、「命」かどうかは別として、近年はわれわれ一般人の間でも、歯に対するケア、そして、歯の美しさを求める意識が高まっている。審美に厳しい女性だけでなく、今では男性でも歯の健康と美しさを求める人が少なくない。

そうした意識の高まりを反映しているのが、歯ブラシやマウスウォッシュ、歯間ブラシなどのオーラルケア市場だ。大手生活用品メーカーのライオンの調査によれば、2018年の市場規模は約2405億円。前年比1.9%増と堅調に拡大している。

そんなオーラルケア市場の成長は、なにも歯の健康だけが理由ではないようだ。そこには、歯に関する悩み以上に、男女ともより切実な悩みが存在していたのである。

マーケティングリサーチを手掛けるマクロミルが昨春、20代〜60代の男女1000人に対して行った、口内の悩みとその対処法に関するアンケート結果がある。

それによると、口内の悩みに関する質問で「今までに悩んだことのある症状」を聞いたところ、61.2%で1位となった「虫歯」に続くのが、38%の「口臭」だった。対して、同じく口内の悩みで「現在、悩んでいる症状」を聞いたところ、1位は21.1%で「口臭」が逆転。現在は治療を終えたのだろうか、「虫歯」は19.2%で3位という結果だった。

さらに、「日常生活の中で口臭が気になるか」の問いには、6割以上の人が自らの口臭を気にしているという結果に(「とても気になる」と「やや気になる」を合わせた数値)。これはもう、社会人の大半が口臭に悩んでいると言ってもいいだろう。

なお、口臭の対処法としては、65.7%が「歯磨きをする」、50.6%が「ガム・飴・タブレットを食べる」と回答。なるほど、「フリスク」や「ミンティア」など錠菓(タブレット)の人気もこれで説明できるかもしれない。市場調査会社のインテージによる「食品 SRI/キャンディ(錠菓市場)」の調査データによれば、2018年の錠菓市場は300億円を超え、前年比10%増とこちらも拡大中だ。

口臭には「病的口臭」と「生理的口臭」がある

口臭に対するケア意識の高まりは、歯科医院の診察科目の変化にも表れている。虫歯治療に加え、虫歯の発生を予防する「予防歯科」や、矯正やホワイトニングなどを行う「審美歯科」が増えているが、都市圏を中心に新たに増加しつつある科目が「口臭外来」である。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進

ビジネス

トランプ氏が解任「検討中」とNEC委員長、強まるF

ワールド

イスラエル、ガザで40カ所空爆 少なくとも43人死

ワールド

ウクライナ、中国企業3社を制裁リストに追加 ミサイ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 6
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 7
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 8
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 9
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 10
    トランプに弱腰の民主党で、怒れる若手が仕掛ける現…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 6
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中