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シリーズ日本再発見

日本の接客業に求められるサービスには「身だしなみ」も含まれる

2019年11月28日(木)16時45分
高野智宏

「においがある/においがない」の境界線は?

接客業の中でも、客との距離が最も近いのが美容院やエステといった美容関連の業種だ。先のティーペック「喫煙に関する意識調査」でも、14.1%が美容関連で不快な思いをしたと回答している。そんななか、全国に360店舗以上を展開する美容室チェーン、Agu.グループの取り組みが注目されている。

同社は今年5月、喫煙する全ての美容師に対し、営業時間中(休憩時)の喫煙を加熱式たばこのPloom TECH(プルーム・テック)に限定すると発表した。客からの「美容師の(紙巻き)たばこのにおいが気になる」という声がその発端とのことだが、市販されている加熱式たばこはPloom TECHに限らない。なぜ、Ploom TECHなのか。グループを運営するAB&カンパニー取締役事業戦略部長の江木壮太郎さんに聞いた。

「確かに加熱式たばこは他にもありますが、Ploom TECHはにおいはもちろん、有害物質も最も多くカットされると聞きました。それで、Ploom TECHに決めたのです」

詳しく説明すると、加熱式たばこのうち、高温加熱型のIQOS(アイコス)やglo(グロー)、Ploom Sは健康懸念物質を90%以上カットするが、低温加熱型のPloom TECHとPloom TECH +の場合、実に99%がカットされるという。においに関しても、JTのPloom製品サイトに記載されたデータによれば、紙巻きたばこのにおいの濃さを100%とした場合、同社の高温加熱型製品であるPloom Sは5%未満。一方、低温加熱型のPloom TECHやPloom TECH +では、1%未満に抑えられるとされる。

「みなプロ意識が高いため、それがサービスの向上につながるならと前向きに試してくれました。調べてみると、試してみた約8割の美容師が、その後も業務時間内はPloom TECHを使用しているようです。今回の提案がよい入り口となり、こうした積み重ねがグループ全体のサービスへとつながることを期待しています」と、江木さんは今回の取り組みに関しての手応えを語る。

サービスの内容はもちろんのこと、接客業では服装をはじめとする清潔な身だしなみが求められ、そこには「たばこのにおい対策」も含まれる時代になったということだ。

しかも、Agu.グループの取り組みが示唆しているのは、「においがある/においがない」の境界線は紙巻きたばこと加熱式たばこの間ではなく、「紙巻きたばこ、高温加熱型の加熱式たばこ」と「低温加熱型の加熱式たばこ」の間に引くほうがいいかもしれないということ。接客業に求められるサービスの質を考えると、それが時代の要請なのだろうか。

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