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コラム
ニューズウィーク日本版編集部 From the Newsroom
K-POP、韓国語で歌ってほしいな
今年の夏は暑かった。K-POPもアツかった。
東方神起やBIGBANGなど、これまで男性グループの日本進出が目立っていた韓国歌手。だが今年の夏は女性アイドルグループが続々と日本デビューした。ワイドショーをはじめ既にさまざまなメディアで紹介されているからご存知の方も多いと思うが、ちょこっとまとめると──。
「少女時代」
脚線美と一糸乱れぬダンスフォーメーションが売りの9人組。ちなみに所属事務所は、空中分解した東方神起と同じ韓国一の芸能事務所SMエンターテインメント。
「KARA」
少女時代がセクシー系というなら、KARAはどちらかというとキュート路線が狙いの5人。
「4 minutes」
韓国で昨年デビューしたばかりの5人。少女時代が清純派セクシーというなら、こちらはパンチのあるセクシーさ。ヒョナの骨盤の動きが尋常じゃない。
「Brown Eyed Girls」
大人な妖しい色気が漂う4人。平均年齢も上の3組に比べて高い。昨年韓国でリリースした「アブラカダブラ」の、腕組みしながら上から目線で腰を揺らす振り付け、通称「小生意気ダンス」がちょっとした社会現象に。
この新たな韓流の波、オリコンチャートでも上位に食い込んだり、情報番組で特集されるなど、かなり人気のよう。各種メディアの分析を読んだり聞いたりしていると、なんでも男性より若い女の子にすごい人気なんだとか。アキバ男子を狙った「カワユイ」系の日本のアイドルに対し、韓国アイドルはスタイルが良くダンスも洗練されていて、そんなセクシーな姿に日本の女の子たちは「カッコイイ」と憧れを抱いているらしい。かたや「草食系」に向かっている日本男児は圧倒され、腰が引けてしまうんだと。......面白い分析だ。
それはさておき、ちと気になることがある。女性アイドルに限らず、日本に進出してくる韓国歌手は、どうして日本語で歌うんだろう。母国語で歌ったほうがいくらか楽だし、本領が発揮できるだろうに。
これは私の悪い癖なんだが、歌を聴くとき歌詞をあまり聴かず、音とリズムしか耳に入っていないことが多い。だから、韓国人歌手が日本語で歌っているのを聞くと、やはりどこかで日本語ネイティブの私の耳が、その発音に反応して引っかかってしまうのだ。日本進出のためにあれだけ日本語を話せるようになっている皆さんには本当に頭が下がる思いなのだが、歌は韓国語で歌ってほしい。
たぶん歌詞を伝えたいとか、日本での活動をバックアップしてる事務所の方針とかもあるんだろう。でも、バラードならまだしも最近のK-POPの中心はダンスミュージックやフックソング(同じフレーズを何回も繰り返す耳にキャッチーな曲)。個人的には歌詞の内容は二の次だし、それより脚線美と腰の動きにクラクラしちゃう。
さらに言うなら、韓国語(朝鮮語)の利点を台無しにしてるようで、もったいない。韓国のポップスを聴いていて思った。なんか「チャッ・チュッ・チョッ」「ジャ・ジュ・ジョ」「パ・ピ・プ・ペ・ポ」といった音が多い気がする。そのせいか、なんか強弱が激しくて、ノリがいいような気がする。特にヒップホップ、なかでもラップは日本語のそれよりキレがあるし、フローもなめらかな気がする──。
で、ちょっと調べたり韓国語が流暢な友人に聞いたりしたところ、やはりワケがあった。韓国語には、子音で終わる語(パッチム)がたくさんあったり、激音(息を強く吐き出す発音)や濃音(息を出さずにする発音、日本語の促音「っ」に近く「っ○○」と語頭にくることも)があるからだそうだ。これで、音節が短く歯切れのいいリズムができるというわけ。ラップなら韻をふんだときにキレが出るし、パッチムの後に母音から始まる語が続けば「子音+母音」でリエゾン(連音化)が起きて無音子音が発音されるので、なめらかなフローを出せる。
やっぱりもったいないよ、K-POP。せっかくなんだから、私たちがいつも耳にしてるのとは違う「音」を聞かせてほしいな。
──編集部・中村美鈴
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