コラム

【保存版】平成30年間の新卒採用:人気企業、求人倍率、新入社員タイプ...

2019年04月24日(水)19時00分

Newsweek Japan

<1年ごとにまとめた表で、30年間の変遷をたどる。そこから浮かび上がったのは、令和の時代に求められる人と企業の新しい関係だ>

4月1日、新元号が「令和」に決まった。同じ日に、多くの会社で新入社員の入社式が行われた。「平成」最後の入社式であり、令和元年にビジネスの世界に飛び込む若者たちだ。

4月9日には、早くも令和2(2020)年入社予定の大学生人気企業ランキングが発表された。人材会社マイナビと日本経済新聞社が共同で行った調査によると、文系では1位:JTBグループ、2位:全日本空輸(ANA)、3位:東京海上日動火災保険。理系では1位:ソニー、2位:味の素、3位:明治グループ(明治・Meiji Seikaファルファ)だった。

そこで、「平成」の30年間の大卒新卒採用を振り返ってみたい。

目的は、2つ。

ひとつは、令和元年の新入社員に限らず若手も中堅も、それぞれ自分が持つ価値観の背景や、身近な先輩後輩の価値観を知ってもらうため。ビジネスパーソンの価値観には、就職活動経験が必ずどこかに影響している。社会に出る時の原体験の記憶は、やはり強烈なのだ。

そしてもうひとつの目的は、これから始まる令和の時代を考えるためのヒントとして。平成30年間の変化から、令和時代の「人と企業の関係」を読み解いていく。

30年分を一気に振り返るので多少長くなるが、1年ごとに表にまとめたので参考にしてもらいたい。

平成の大卒新卒採用を振り返るために、大卒の求人倍率(リクルートワークス研究所調べ)、人気企業ランキング1~3位(人材会社マイナビ調べ)、新入社員のタイプ(現代コミュニケーション・センター、2003年以降は社会経済生産性本部公表)、就職活動のルールの主な変更、そして参考までに、完全失業率(総務省統計局)と、その年の主な出来事も記載した。

2011年からはマイナビが新入社員の意識調査を行っており、「仕事優先の生活を送りたい(「どちらかといえば」を含む)」、「プライベート優先の生活を送りたい(「どちらかといえば」を含む)」」の意向率も分かるので、それも含めた。

ここで断っておくが、新入社員のタイプは〇〇型という命名と同時に、長文の解説も公表される。今回は、短文で特徴が分かるように筆者が大胆に抜粋要約しているのでご了承願いたい。

[注記]
・新卒の求人倍率は卒業年度に合わせた。新卒の場合、採用活動から入社までの期間が長いので、完全失業率と比べる場合には前年の数値も参考に。
・人気企業ランキングも公表された年ではなく、入社年度に合わせた。社名は、ANA(全日本空輸)やNEC(日本電気)、NTT(日本電信電話)など、呼称が一般化しているものは、呼称のみを表記。JTBやJALのように途中で社名変更したようなケースも、呼称が認知されているものは、当時の正式社名にかかわらず呼称で表記した。
・新入社員のタイプは公表されたのは2017年まで。

平成元~2年:超売り手市場の時代

株価の年末終値が日経平均3万8,915円をつけた平成元年。大卒求人倍率は2.68倍と、現在の1.88倍とは比べものにならないぐらい高かった。

今でも売り手市場と言われているのだから、当時の採用の困難さが分かるはずだ。学生が他社を訪問できなくするために、旅行に連れ出す、高級ホテルに缶詰めにするということが普通に行われていた。

企業も学生も、当たり前のように「就社」を考えていた時代だ。この時代の人気企業には、文系では総合商社や金融が並び、理系ではNEC、ソニー、富士通が上位を独占する年が続く。

matsuoka190424-ch1.pngmatsuoka190424-ch2.png

プロフィール

松岡保昌

株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長。
人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士の資格も持ち、キャリアコンサルタントの育成にも力を入れている。リクルート時代は、「就職ジャーナル」「works」の編集や組織人事コンサルタントとして活躍。ファーストリテイリングでは、執行役員人事総務部長として同社の急成長を人事戦略面から支え、その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長として広報・宣伝のあり方を見直す。ソフトバンクでは、ブランド戦略室長、福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役などを担当。AFPBB NEWS編集長としてニュースサイトの立ち上げも行う。現在は独立し、多くの企業の顧問やアドバイザーを務める。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB利下げ「良い第一歩」、幅広い合意= ハセット

ビジネス

米新規失業保険申請、3.3万件減の23.1万件 予

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 5
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 8
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 9
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 10
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story