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岸田政権には支持率回復の処方箋がある
F1観戦は支持率回復につながるか(10月3日、三重県の鈴鹿サーキットで)Issei Kato-Reuters
<支持率急落に苦しむ岸田政権。「やるべきことをやらず、やらなくてもいいことをやっている」のが最大の原因だが、それでも窮地の岸田首相が復活できる「秘策」はある>
岸田政権の支持率が急落している。時事通信が昨日公表した最新世論調査(7日〜10日実施)によると内閣支持率は27.4%で、前月と比べて4.9ポイント減少した。毎日新聞の世論調査(9月18日公表分)で既に支持率29%という数値が出ていたが、9月27日の安倍晋三元首相国葬儀が終わっても下落傾向に歯止めはかかっていない。
自民党支持率23.5%と足し合わせた通称「青木率」は50.9ポイント。青木率とは、政権支持率と与党第一党の政党支持率を合わせた数値が「50ポイントを割り込むとその政権は危うい」とする、青木幹雄元内閣官房長官が唱えたとされる経験則だ。岸田政権はその存続が危ぶまれる危険水域に入りつつある。直近に国政選挙は予定されていないとはいえ、来年4月には統一地方選挙が控えている。地方選挙が戦えないという声が高まれば党内の求心力は失われていく。
その原因はいくつかあろう。まずは「やるべきことをやっていない」印象を与えている事が大きい。急激な円安による消費者物価の高騰が国民生活を直撃している。政府は第二次補正予算を組んで大型の経済対策を打ち出そうとしているが、13日には1ドル147円台後半まで円相場が下落。急激な円安が止まらぬ中で、岸田政権の経済対策は遅すぎる印象を与えており、国民の不安が募っている。
「やるべきことをやっていない」印象と言えば、旧統一教会問題も同様で、宗教二世と呼ばれる信者の親族が被った被害に注目が集まる中、政権としてどのような救済策を具体的に講じるのかが見えてこない。
消費者庁の有識者検討会は、宗教法人法に基づく「調査」の実施を提言に盛り込む方向と伝えられているが、文化庁は解散命令請求に対して慎重姿勢を崩していない。しかし解散命令自体を判断するのは裁判所であり、それとは別に、政治がイニシアチブをとることが出来る方策はいくらでもある。宗教二世が受けている被害実態の詳細調査や日本から海外への不透明な送金の実態解明だけでなく、旧統一教会との踏み込んだ関係が指摘されている閣僚や議長に引導を渡すぐらいの積極姿勢が見えていれば、ここまで支持率が低下することもなかっただろう。
外交・安全保障分野では、連日のように北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本近隣を飛び交っている。3期目続投を果たすだろう習近平総書記が「台湾侵攻」を決断する日はそう遠い先のことではない、という指摘もある。ウクライナ侵攻を含めて、「外交の岸田」を標榜する割に、その対応は官僚的な定型対応に終始し、毅然とした姿勢が国民に伝わっているとは言い難い。
旧・文書通信交通滞在費の問題も積み残されたままだ。6月15日に閉会した通常国会で法改正が行われ「調査研究広報滞在費」に名称が変わったが、実態に変化はない。臨時国会で日本維新の会と立憲民主党が6項目について共闘することで合意したが、その一つが文書通信交通滞在費改革。「使途の公表」を含めて、岸田政権としてどう取り組んでいくかは音無しの構えのままだ。
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