- HOME
- コラム
- 欧州インサイドReport
- ロシアの「弱さ」思い知った旧ソ連諸国...「力の空…
ロシアの「弱さ」思い知った旧ソ連諸国...「力の空白」で周辺地域が一気に不安定化
ロシアの威信低下でユーラシアの地政学に劇的な変化が
ウズベキスタンは2012年にCSTOを離脱しており、他の加盟国が相次いで離脱するとの懸念も膨らむ。ウクライナが早期に勝利を収めるとみるのは楽観的過ぎるかもしれないが、ロシアのパワーと影響力は目に見えて弱まっている。「ロシアは撤退しているのではなく収縮している」(米カーネギー国際平和基金のダニエル・ベア上級研究員)という。
「東欧から中央アジアに至るロシア周辺では地政学的に巨大な吸引音が鳴り響いている。プーチン政権は旧ソ連圏でロシアの力を誇示しようとする権威主義的な体制になった。その背後には旧ソ連圏を再び支配下に置きたいという願望と、旧ソ連圏の民主化が自国にも伝染しかねないという根深い恐怖心がある」とベア研究員はフォーリン・ポリシー誌に書く。
「ウクライナでのプーチンの戦略的敗北はロシアの支配力を緩めることになるかもしれない。ウクライナ戦争の敗北によって、ロシアの将来の政治的発展と安全保障体制が注目されるようになった。ロシアの威信とパワーの低下によりユーラシア大陸の地政学的風景はダイナミックに変化する可能性がある」(ベア研究員)
ロシアの違法なウクライナ4州併合を非難した国連総会決議で反対票を投じたのがロシアとベラルーシ、北朝鮮、シリア、ニカラグアの5カ国。賛成143カ国で、棄権は中国やインドなど35カ国。CSTOではアルメニア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタンが棄権に回った。ウクライナ戦争でプーチン氏は「張り子の虎」以下の存在に成り下がった。