なぜ文政権の支持率は低下し続けるのか?
国民の人気を失った文在寅大統領 REUTERS
<スキャンダル続きでワクチンの確保もできない文政権に国民の半数以上が「鬱憤」を感じている>
文政権の支持率低下の傾向が鮮明になってきている。韓国の世論調査会社リアルメータが調査した2021年4月2週目の文政権の支持率は34.7%で、過去最低値を記録した4月1週目の33.4%に比べて1.3ポイント上昇したものの、まだ30%前半の低い水準にとどまっていることが明らかになった。
年代別の支持率は 70代が24.3%で最も低く、次いで、60代(24.6%)、20代(29.8%)、30代(40.0%) の順であった。特に政権初期に高かった20代の支持率低下が目立つ。一方、政党支持率も野党の「国民の力」が37.1%で、与党の「共に民主党」の30.0%を大きく上回っている。
文政権や与党「共に民主党」の支持率低下は、来年3月の大統領選の前哨戦となった4月7日のソウルと釜山のダブル市長選挙の結果からも確認できた。いずれも最大野党「国民の力」の候補が勝利しており、与党「共に民主党」には大きな打撃を与えた。
朴槿恵(パククネ)前大統領が弾劾されてから、当時の与党であった「国民の力」に対する有権者の否定的なイメージは大きく変わっていない。それにもかかわらず、「国民の力」が4月のダブル市長選挙等で勝利したのは、文政権の経済政策が成果を得ず、また、与党「共に民主党」の不祥事が相次いでいたからである。有権者の多くは野党「国民の力」を良く思っていないものの、「このまま与党『共に民主党』に国を任せても何も解決されない。何か変化が必要だ」と思い、「国民の力」を支持した可能性が高い。
■韓国における文在寅大統領の支持率
出所)リアルメータのホームページより筆者作成
文政権の、支持率の低下を招いた要因としてまず考えられるのが「指導部を中心とした公正の欠如や相次ぐ不祥事」である。特に、2019年9月に法務部長官に任命された曹国(チョ・グク)氏の資産形成過程の不透明さや娘の不正入学疑惑などは、国民が文政権の公正さを疑う引き金となった。曹国氏の問題がなければ、文政権の支持率は現在よりかなり高かった可能性がある。文政権にとっては大きな痛手となったに違いない。
曺国氏のスキャンダルに対して、多くの若者は怒りや鬱憤を感じることになった。2019年10月にソウル大学のユミョンスン教授等が発表した調査では、回答者のうち、慢性的に鬱憤を感じている人の割合は43.5%に達した。
鬱憤とは、「外部から攻撃されて怒りの感情ができ、リベンジしたい気持ちになるものの、反撃する力がないため、無気力になり、何かが変わるという希望も無くなった状態に屈辱感まで感じる感情」であると定義されている。
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