コラム

熊本地震で発揮された電力会社の災害対応力は今後も維持できるか

2016年04月22日(金)18時00分

2012年にアメリカ東部を襲った2012年のハリケーン「サンディ」では、電力の復旧が遅れて批判された Lucas Jackson-REUTERS

地震で見た日本の底力

 熊本県、大分県など、九州で14日から大規模地震が続いている。犠牲者のご冥福と、1日も早い復旧と被災者の方の生活の回復を祈りたい。

 災害発生1週間後の20日に、電力はほぼ全戸に復旧、熊本県内では都市ガス、水道は9割以上が復旧した。物資面でもコンビニや大型スーパーでも9割が復旧した。もちろん一部には公表情報とのズレがある場所もあるだろうが、状況は総じて改善に向かっている。

 これはインフラ企業、物流・運送企業、また道路を保守する公的機関の能力の高さを示すものだろう。自衛隊や政府、行政の復旧活動の努力もあるが、民間の力も讃えられるものだろう。

どの災害でもインフラ復旧は素早い

 エネルギーの復旧では、電力中央研究所が興味深いリポートを公表している。「東日本大震災・被災地におけるエネルギー利用 実態調査」というリポートだ。(抜粋版

(図表)インフラと災害復旧
screenshot_a.jpg

screenshot_b.jpg出典:電力中央研究所上記リポート


 電気、水道、灯油、ガソリン、都市ガス、LPガスのライフラインを調べると、復旧が早かったのは電気で1週間後までに95%以上が復旧している。これは、災害地を担った東北・東京の両電力の復旧力の高さに加え、電線が地上に露出しているために他のインフラより整備がしやすいという点もあるのだろう。

プロフィール

石井孝明

経済・環境ジャーナリスト。
1971年、東京都生まれ。慶応大学経済学部卒。時事通信記者、経済誌フィナンシャルジャパン副編集長を経て、フリーに。エネルギー、温暖化、環境問題の取材・執筆活動を行う。アゴラ研究所運営のエネルギー情報サイト「GEPR」“http://www.gepr.org/ja/”の編集を担当。著書に「京都議定書は実現できるのか」(平凡社)、「気分のエコでは救えない」(日刊工業新聞)など。

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