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なぜEUは中国に厳しくなったのか【後編】3つのポイント=バルト3国、中露の違い、ボレル外相
EU内で、バルト3国だけで「マグニツキー法を」と望むより、北欧理事会の中心的メンバーであるスウェーデンとデンマークと一緒のほうが、ずっと強い。彼らが一致協力してオランダを支持したから、一定の力がうまれたのだろう
こうしてEUで昨年12月、EU版マグニツキー法である法律「グローバル人権制裁制度」が誕生した。
ただ、最終的には合意したものの、躊躇する国もあったので、ロシアを刺激する「マグニツキー」という名前は、配慮して法律につかなかったのだったという(欧州議会は望んでいたのだが)。
このように、EU内で同志を募って一致協力してグループをつくり、推し進めてEUの法律を制定していくのは、よくあることである。
地政学的には、バルト3国と日本で、ロシアを挟むことができる。ロシアは今のところ日本にとって、際立った軍事的脅威はないが、アメリカがからんで不穏な空気はすでに一部生じている。今後中国と連携してどのような行動をとってくるのか、警戒が必要だ。
バルト3国と日本の協力関係は、ロシアにとって牽制になり、中国関係にも影響を及ぼす可能性がある。
茂木氏は、今後策定されるEUのインド太平洋戦略について「日本、EU、バルト3国が共有する方針がしっかり反映されるだろう」と述べた。
思えば日露戦争の際、ポーランドが日本に協力を申し出たことがあった。理由は上記と同じだろう。それを日本は断った。1世紀を経て、日本の国際感覚も飛躍的に向上したものだ。
2、中国とロシアの違い
さて、ル・モンドの論説委員であるシルヴィ・カウフマン氏が、大変面白いことを書いている。
EU27カ国は進んで制裁を行っているが、力の試練にはほとんど慣れていない。ジョゼップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表(以下、ボレル外相)は常々「力の言語を学べ」と言っている。明らかに学習には時間がかかるだろう。
EUは制裁を複数の国に課したが、顔面に棒を打ちつけられるのには慣れていない。
ロシアに関しては、ある程度までは報復措置の対応を知っている。目には目を、歯には歯を、である。
EUに対して、ロシアが同等性なのに対して、中国は激化する。EUは、中国はロシアとは違うと発見しているところである、
──というのである。
それでは、ロシアと中国はどう違うのか。
まずロシアである。
ロシアがEUに対して「目には目を、歯には歯を」だと聞くと、なんだかすさまじいような印象を与える。
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