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パキスタンが非イスラム教徒に不寛容な理由
米国市民を法廷で銃殺した少年を支持するデモ(ペシャワール) AP/AFLO
<イスラム教の教義に準じるパキスタンの刑法では、預言者ムハンマドに対する冒瀆で有罪となった場合には死刑となる。そこには2つの大きな問題点が>
パキスタンの裁判所は9月、イスラム教の預言者ムハンマドを冒瀆した罪で37歳のキリスト教徒アシフ・ペルベズに死刑判決を下した。ペルベズが上司に対し、預言者ムハンマドを侮辱するテキストメッセージを送ったというのがその理由だ。
弁護士やキリスト教慈善団体ACNによると、ペルベズはSIMカードを盗まれたとしてメッセージを送った事実を否定している。またイスラム教に改宗せよという上司の要請を拒否した後、この上司がこの告発を行ったと主張しているという。
2013年に逮捕されたペルベズは既に7年間拘束されており、今回の判決ではさらに3年間収監された後、「死ぬまで首をつる」刑に処されることになっている。弁護士は控訴すると述べた。
パキスタンの冒瀆罪の「悪名」は、2010年に預言者ムハンマドを冒瀆した罪で死刑判決を受けた後、2018年に逆転無罪が確定したキリスト教徒女性アーシア・ビビのケースで世界に知れ渡った。
このケースでは、ビビを支援したパンジャブ州知事と冒瀆法の見直しを呼び掛けた連邦少数民族相が立て続けに暗殺され、弁護士も殺害予告を受け国外に退避した。イスラム教指導者はビビの殺害に賞金を懸け、逆転無罪判決後も判決に激怒した大衆による暴力的な大規模デモが発生し、度重なる脅迫を受けたビビはカナダに亡命した。
イスラム教の教義は預言者ムハンマドに対する冒瀆を死罪とする。パキスタンの刑法はこれに準じ、預言者ムハンマドに対する冒瀆で有罪となった場合には死刑と規定している。
ここには大きな問題点が2つある。
1つ目は、パキスタンの人口の97%を占めるイスラム教徒が冒瀆者は死すべきだと強く信じているため冒瀆法を強く支持しているだけでなく、冒瀆の疑惑を持たれた人物や関係する弁護士、支援者を私刑の形で殺害することもいとわないという点だ。
今年7月には冒瀆罪で起訴された米国市民でもある少数派アフマディー教徒の男性が、法廷で15歳の少年に銃撃されて死亡する事件が発生したが、人々はこの少年を聖戦士とたたえた。アルジャジーラは1990年以来、少なくとも77人が冒瀆疑惑に関連して殺害されたと報じている。
2つ目は、非イスラム教徒を陥れる目的で冒瀆が捏造されるケースが少なくない点だ。ビビの事案でも、最高裁は「証拠がない」として告発が虚偽であることを認めた。パキスタンの人権団体HFOのサジド・クリストファー代表は、ペルベズのケースも虚偽の告発だとし、パキスタンにはキリスト教徒に対する不寛容があり、信教の自由が侵害されていると批判した。
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