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中国が香港の抗議活動弱体化のために行なっていたこと......サイバー攻撃からネット世論操作
香港抗議活動の背景
まず、日本ではあまり紹介されていない背景について簡単に紹介しておきたい。
●抗議活動の主体は若者であり、貧富の差の大きな香港の貧しい層を代表している
抗議活動が起きた原因はいくつかあるが、中国政府の法律の押しつけなどはきっかけに過ぎず、根底には香港の抱える貧富の差と、中国本土への不信感と不安がある。中国本土への不信感と不安は、中国への返還以降、中国本土から大量の移住者が香港にやってくることによって、さらに大きくなっていた。NHKの国際報道2020によると(2020年6月18日)、2020年5月末までの抗議活動関連逮捕者は累計8,986人で、6,600人が16歳から30歳までの若者ということからも活動の中心が若年層とわかる。
●香港経済界は以前から中国本土との結びつきを重視しており、抗議活動には積極的ではなかった
香港経済界と中国本土との結びつきは強い。香港が中国本土への投資窓口となっていることに加え、一帯一路の重要な戦略拠点にもなっている。香港貿易発展局(HKTDC)のサイトにも一帯一路における香港の重要性が紹介されている。
キャセイパシフィック航空がデモに参加して逮捕された従業員を解雇したことが、関係の強さを象徴している(AFP、2019年8月11日)。NHKのクローズアップ現代+(2019年9月3日)では中国本土との関係を重視する香港財界人の意見が紹介されている。
こうした背景はフェーズ1で構築され、並行して中国本土から多くの人が香港に流入した。その次にフェーズ2で法案や抗議者への攻撃が発生した。当初は抗議活動に百万人(主宰者発表)の参加者が集まり、区議会議員選挙では民主派が歴史的勝利を収めた。しかし、その後、2020年3月以降急速に抗議活動は衰退してゆく。
サイバー攻撃からネット世論操作、脅迫まで
中国政府は香港の抗議活動を弱体化させるためにさまざまな方法を用いていた。香港に留まらず、海外に向けてもネット世論を操作し、抗議活動参加者をテロリスト扱いしようとまでしていた。
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