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中国が香港の抗議活動弱体化のために行なっていたこと......サイバー攻撃からネット世論操作
●抗議活動サイトへのサイバー攻撃
抗議活動への妨害工作はサイバー空間でも行われていた。2019年6月3日のThe Vergeの記事によると、中国政府由来と思われる攻撃がメッセージサービスTelegram と FireChat に対して行われていた。このふたつのサービスはどちらも暗号化されており、中国政府の検閲や監視を逃れて連絡を取り合うために利用されていた。また、Telegram社自身もツイッターで主に中国のIPアドレスから攻撃があったと語った。
QUARTZは、2019年9月2日、抗議サイトにサイバー攻撃が仕掛けられたことをレポートした。抗議活動参加者たちが情報交換などのために使っていたサイト「LIHKG」が大規模なDDoS攻撃を受けた際、中国の検索エンジン大手百度のオンライン・コミュニティ百度贴吧(Baidu Tieba)とアンチ・ウイルスソフトベンダ奇虎(Qihoo360)の関与が疑われた。
●個人情報漏洩
警察と抗議活動参加者の双方が、顔情報を元に互いの個人情報を特定し合っていた(The New York Times、2019年7月26日)。警察側は顔認証システムによって抗議活動参加者を特定して個人の特定と追跡を行っていると考えられていた。
HONGKONG FREE PRESSによれば2019年8月にできたHK Leaksというサイトに香港の民主化を主張する活動家やジャーナリストなど200人の個人情報が掲載された。このサイトはロシアの「防弾ホスティング」で、サイバー攻撃や削除要求をはねつけるホスティングサービスに構築されており、情報を削除できなかったという。「防弾ホスティング」およびそのサービス主体であるRBN=ロシアン・ビジネス・ネットワークについては、世界的なジャーナリストであるブライアン・クレブスの「Spam Nation」(2014年11月18日、Sourcebooks)、日本語では「サイバー社会用語集」(原書房、95ページより)がくわしい。
HK Leaksの情報を掲載したフェイスブックページは200万人にフォローされており、広い範囲に個人情報が拡散されていることがわかる。中には数百回もの脅迫電話を受けたジャーナリストもいる。
●ネット世論操作
中国には五毛党というネット世論操作部隊が存在している。その対象は主として中国国内だが、台湾にも手を伸ばしている。今回の香港の抗議活動もそのターゲットになった。
2019年8月19日、ツイッター社は、中国由来の936アカウントを削除したと発表した。これらのアカウント以外に、およそ20万のアカウントをアクティブになる前に停止している。香港の抗議活動をターゲットにした国家支援のアカウントである、とツイッター社ははっきりと書いている。次いでフェイスブック社が5つのアカウントと7つのページ、3つのグループを同じ理由で削除した。
その後、ツイッター社のデータをもとにネット世論操作などの分析で知られるデジタル・フォレンジック・リサーチ・ラボ(大西洋評議会)が詳細な分析を行った。従来の五毛党が人手(トロール)による投稿や拡散を行っていたのに対して、今回はプログラム制御によるボットを利用している点が異なっていた。言語の多様性、商用スパムのツイートが混在していること、多くのアカウントが同じ作成日であること、同じ自動化クライアントの使用していることから、金をもらって投稿を拡散するボット業者を利用した可能性が高いと指摘している。投稿内容は、問題が不必要に政治化されている、抗議活動が香港の秩序や安全にとって脅威になっている、といったものが多かった。
The New York Timesは、中国政府がフェイクの画像や動画を使って抗議活動参加者をテロリストに仕立てようとしていると批判した。
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