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米企業、輸入に急ブレーキ トランプ関税二転三転で様子見

2025年04月10日(木)11時15分

トランプ米大統領による関税措置の発動前に駆け込みで輸入を増やしていた多くの米小売り企業や輸入業者が、足元では関税の着地点を見極めるために急ブレーキを踏んでいる。写真は4月9日、北京で撮影(2025年 ロイター/Tingshu Wang)

[9日 ロイター] - トランプ米大統領による関税措置の発動前に駆け込みで輸入を増やしていた多くの米小売り企業や輸入業者が、足元では関税の着地点を見極めるために急ブレーキを踏んでいる。

米国の輸入はここ数週間、過去最高に近い水準に急増していた。しかしコンテナ貨物を追跡するソフトウエアの提供会社ビジョン(Vizion)によると、4月1―8日の8日間の大型コンテナ船の輸入予約は、前週(3月24―31日)から64%も減少した。

トランプ氏の関税についての発表が二転三転していることから、貿易が麻痺状態に陥っていると小売企業や輸入企業の幹部らは指摘する。

小売企業は例年なら冬商戦に備えて中国の工場にクリスマスの装飾品を発注するころだが、今年は発注していない。

電子商取引(EC)大手アマゾン・ドット・コムは夏シーズンのための中国への発注を一部キャンセルしたと伝えられている。また、米小売業界団体は今年下半期に米国の輸入が急減すると予想している。

複数の家具小売り企業を傘下に収めるヘブンリー・ブランズのリー・マイヤー最高経営責任者(CEO)は「何が実施されて何が実施されないのか全く不透明なため、厳しい事業環境だ」と語り、同社は中国への依存を減らしてベトナムとカンボジアからの家具輸入を増やしていると説明した。

靴のナイキからベスト・バイに至るまで、小売企業は中国、ベトナム、インドネシアなどに主要な製造拠点を持つため、トランプ氏の貿易戦争の影響を被っている。

小売企業は状況が明確になるまで、在庫を切り崩していく計画だ。マイヤー氏は「あとは、この状況が落ち着くまで少しでも平静を保とうと努めている」と語った。

下半期は新学期から感謝祭、クリスマスに至るまで、小売業者にとって重要な商戦シーズンとなる。ザックス・インベストメント・リサーチの調査ディレクター、シェラズ・ミラン氏は「新学期は通常、小売企業にとって重要な機会であり、関税の影響が最初に表面化する時期になるだろう」と話した。

ロイター
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