グリーンランドで新連立政権発足、米の領有意欲に対抗し団結呼びかけ

デンマーク自治領グリーンランドで、今月11日に実施された議会選で第1党となった民主党が他の3党と連立政権樹立で合意し、新たな政権が発足した。3月27日、グリーンランド・ヌークで撮影(2025年 ロイター/Leonhard Foeger)
Tom Little Leonhard Foeger
[ヌーク(グリーンランド) 28日 ロイター] - デンマーク自治領グリーンランドで28日、今月11日に実施された議会選で第1党となった民主党が他の3党と連立政権樹立で合意し、新たな政権が発足した。トランプ米大統領がグリーンランド領有に意欲を示す中、首相に就任した民主党のニールセン党首は政治的団結を呼びかけた。
この日は米国のバンス副大統領夫妻のほか、ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)や、ライト・エネルギー長官らが参加する米代表団がグリーンランドにある米国のビドフィク宇宙軍基地を視察する。
ニールセン氏は記者会見で、米代表団の訪問は「敬意に欠ける」とし、「(グリーンランドが)国民として圧力を受けているこの時期、われわれは団結しなければならない」と訴えた。
民主党はグリーンランドの段階的な独立を目指し、議会選で躍進。デンマークのフレデリクセン首相は、ニールセン党首が率いる新政権を祝福し、「不必要に対立の多いこの時期に緊密に協力していくことを楽しみにしている」と述べた。
トランプ大統領はこれまでも繰り返し、戦略的に重要な位置にあるグリーンランドを安全保障のために領有する必要があると主張。26日にも「米国はグリーンランドを必要としており、デンマークを含む世界も、米国がグリーンランドを領有することを必要としている」と述べている。
グリーンランドの首都にあたる政庁所在地のヌークは、地理的にデンマークの首都コペンハーゲンよりも米国のニューヨークに近い。鉱物、石油、天然ガスなど天然資源に恵まれているものの、開発は遅れている。
オスロに拠点を置くフリチョフ・ナンセン研究所の北極圏政治・安全保障上級研究員アンドレアス・エステハーゲン氏はロイターに対し、トランプ氏がグリーンランド領有構想をどこまで推し進める意向なのか注目していると指摘。「米国が軍事的手段を用いる可能性はまだ低い」としながらも、「トランプ大統領とバンス副大統領が、グリーンランドへの半公式的な訪問や、経済的手段などの他の方法で圧力をかけ続ける公算は大きい」と述べた。