トルコの政治混乱、経済改革の後退招くリスク S&Pが警告

格付け会社S&Pグローバルは24日、トルコのエルドアン大統領の政敵拘束によって引き起こされた混乱が、同国の経済改革計画への逆風になる恐れがあると警鐘を鳴らした。2023年7月、イスタンブールで撮影(2025年 ロイター/Dilara Senkaya)
[ロンドン 24日 ロイター] - 格付け会社S&Pグローバルは24日、トルコのエルドアン大統領の政敵拘束によって引き起こされた混乱が、同国の経済改革計画への逆風になる恐れがあると警鐘を鳴らした。
S&Pは「トルコ経済に対する信頼や為替相場の安定にリスクをもたらす可能性がある」と指摘。不確実性の高まりによる家計支出や資本流入、経済成長、インフレへの「二次的影響」も「重大」となる恐れがあるという認識を示した。
トルコ裁判所は24日、エルドアン大統領の最大の政敵で、汚職やテロ組織への資金提供などの容疑で先週拘束されたイマモール・イスタンブール市長について、正式な裁判開始前に刑務所へ収監することを決定した。各地で抗議デモが激化する中、これまでに1133人が拘束されたという。金融市場では通貨リラや株価が急落するなど混乱が深まっている。
また、トルコ国債の保証コストは上昇し、信用格付け引き下げの可能性も織り込まれた。ただ、短期的に格下げのリスクは低いとみられる。
S&Pとフィッチはともにトルコの格付けを「BBー」、格付け見通しを「安定的」としている。ムーディーズは、1段階低い「B1」、見通しを「ポジティブ」としている。