アングル:加・メキシコへの関税発動迫る、国境警備巡り米政権の説得模索
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カナダとメキシコに対する米関税引き上げ発動が3月4日に迫る中、措置を回避するため、移民や合成麻薬フェンタニル流入を巡る一連の協議が活発化する見通し。写真は1日、メキシコのシウダードファレスで撮影(2025年 ロイター/Jose Luis Gonzalez)
[ワシントン 24日 ロイター] - カナダとメキシコに対する米関税引き上げ発動が3月4日に迫る中、措置を回避するため、移民や合成麻薬フェンタニル流入を巡る一連の協議が活発化する見通し。両国は国境警備の強化とフェンタニル密輸の抑制に向けた取り組みが効果を上げているとトランプ政権を説得したい考え。
トランプ米大統領は今月4日、両国の輸入品に25%の関税を課すと表明したものの、両国が国境対策強化に応じたことを受け、発動を1カ月停止し協議を続ける方針に転換した。
米国とカナダの貿易問題を専門とする弁護士ダン・ウイチョ氏は、今週予定される協議と国土安全保障省からの報告書が、関税発動のさらなる延長を巡る判断材料になると指摘。ただ、延長されたとしても、少なくとも国境措置が移民やフェンタニルの流入を阻止しているとの明確な証拠が示されるまでは、トランプ氏による関税の脅威は続くとの見方を示す。
<さらなる関税の脅威>
トランプ大統領は1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の追加関税を課す大統領令に署名。10日には、鉄鋼とアルミニウムに対する関税を大幅に引き上げ一律25%とし、主要供給国のカナダ、メキシコ、ブラジルなどへの適用除外措置と無関税枠を撤回した。ホワイトハウスによると、この措置は3月12日に発効する。
前出のウイチョ氏は、これら関税措置により、2026年までに予定されている自由貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の再交渉が早期に開始される公算が大きいとの見方を示した。
<関税回避に向けて>
カナダは昨年12月、国境警備に6年間で13億カナダドル(9億1300万米ドル)を投じる計画を発表したほか、今月11日には、合成麻薬フェンタニルの密輸対策で、トルドー首相の国家安全保障・情報副顧問だったケビン・ブロソー氏を新設のフェンタニル担当官に任命するなど、国境警備の強化に向けた措置を公表している。
メキシコのエブラルド経済相は20日、ラトニック米商務長官らと「建設的な対話」を行ったとの見解を示したほか、Xへの投稿で、24日に貿易に関する共同作業に入ると発言した。