ニュース速報
ワールド

ウクライナ侵攻3年、キーウで支援サミット 米の出席確認されず

2025年02月25日(火)00時42分

ロシアによる全面侵攻開始から3年を迎えた24日、ウクライナは首都キーウ(キエフ)で「ウクライナ支援サミット」を開催した。同日撮影(2025年 ロイター/Ukrainian Presidential Press Service/Handout via REUTERS)

Tom Balmforth Olena Harmash Max Hunder

[キーウ 24日 ロイター] - ロシアによる全面侵攻開始から3年を迎えた24日、ウクライナは首都キーウ(キエフ)で「ウクライナ支援サミット」を開催した。欧州諸国から団結の表明が相次いだものの、ウクライナの最も強力な同盟国である米国から今後も支援を受けられるかは不透明になっている。

今回の会合には 欧州連合(EU)のコスタ大統領と欧州委員会のフォンデアライエン委員長のほか、カナダ、デンマーク、アイスランド、ラトビア、リトアニア、フィンランド、ノルウェー、スペイン、スウェーデンの首脳が対面形式で出席。日本のほか、英国、ポーランド、トルコ、モルドバなどの国の首脳はビデオリンクを通してメッセージを寄せた。ただ、米国の代表者の参加は確認されていない。

米国のトランプ大統領は先週、ウクライナのゼレンスキー大統領を「選挙なき独裁者」と糾弾。「迅速に行動しなければ、国は残らないだろう」と述べた。米国が提案する鉱物・資源協定の締結を巡る苛立ちが背景にあるとみられる。

米国との関係がぎくしゃくする中、ゼレンスキー氏は今後の方針を模索するため、先週21日以降、欧州を中心に各国の首脳との電話会談を10回以上行った。

ゼレンスキー氏は支援サミットで「ロシアのプーチン大統領が『3日間』の『特別軍事作戦』を開始してから3年が経過したが、ウクライナは存在し、戦い続けている。ウクライナは今までにない数の友好国を世界中に持っている」と述べた。

これに先立ちゼレンスキー氏は「抵抗の3年。感謝の3年。ウクライナ人の究極の英雄主義の3年。ウクライナを誇りに思う」と対話アプリに投稿。各国の支援に謝意を示した。

キーウを訪問した各国首脳は、市中心部の広場に設けられた慰霊碑の前で黙とうを捧げ、戦死したウクライナ兵を追悼。支援サミットが開かれている間も首都キーウで空襲警報が発令された。ただ実際のミサイル攻撃はなかった。

フォンデアライエン氏は「生存を賭けたこの戦いで、危機に瀕しているのはウクライナの運命だけではない。欧州の運命が危機に瀕している」とXに投稿した。 

ウクライナ空軍によると、ロシアは昨晩からこの日にかけて185機のドローン(小型無人機)でウクライナを攻撃。重大な被害は発生しなかった。ただ、前線の戦況は厳しい。今年就任したトランプ米大統領は早期停戦を旗印にプーチン大統領と電話会談。ウクライナには鉱物資源の提供を迫り、ゼレンスキー氏を非難している。 

ゼレンスキー氏は23日、ウクライナに平和が戻るなら大統領を辞任する用意があると述べた。北大西洋条約機構(NATO)加盟と引き換えに辞任する用意もあるとした。     

2014年から19年までウクライナ外相を務めたパブロ・クリムキン氏は、米国のトランプ大統領の厳しい発言にもかかわらず、ウクライナと米国との関係は危機的状況には至っていないと指摘。「『竜巻』は永続的なものではなく、必ず過ぎ去る。ただ、助長させるようなことは一切してはならない」と述べた。

同時に、ゼレンスキー大統領は米国との戦略的関係を維持しながら、欧州諸国との関係強化を図るほか、中国やインドなどにも働きかける必要があると指摘。また、ウクライナが目指す公平で永続的な和平合意は年内には実現しないとの見方を示した。

<石破首相、ロシアを非難 ウクライナへの揺るぎない支援表明>

石破茂首相はウクライナ支援サミット向けのステートメントで、ロシアによるウクライナ侵略は「国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」と非難し、力による一方的な現状変更の試みは世界のどこであれ許されることではないと指摘。こうした認識の下、日本は対ウクライナ支援と対ロシア制裁を強力に推進してきたと述べた。

ロシアによるウクライナ侵略の終わらせ方を考えるにあたっては当時者であるウクライナが関与しなければならないとし、公正で永続的な平和の実現に向け、ウクライナに対する揺らぎのない支援を継続すると改めて表明した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米仏首脳が会談、ウクライナ情勢巡り協議 トランプ氏

ワールド

G7首脳、ウクライナでの紛争終結で一致=トランプ氏

ワールド

国連事務総長、世界安全保障体制崩壊に警鐘 ジュネー

ワールド

米DOGEによる教育省などへのアクセス一時差し止め
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 2
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 3
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 4
    見逃さないで...犬があなたを愛している「11のサイン…
  • 5
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映…
  • 7
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 8
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中