豪が中国に懸念表明、沖合での実弾演習を直前通告 航空便経路変更
Kirsty Needham Lucy Craymer
[シドニー/ウェリントン 21日 ロイター] - オーストラリアのマールズ国防相は21日、中国海軍からオーストラリアとニュージーランドの間の国際水域で実弾演習を行うと直前に通告があり、航空各社がフライトの迂回を余儀なくされたとして、中国に懸念を表明した。
カンタス航空やニュージーランド航空などは同日、オーストラリアとニュージーランド間の飛行経路を変更。この海域での中国海軍による実弾演習は異例だ。
アルバニージー豪首相は同日午後、記者団に対し、演習時間はすでに過ぎているが、実際に実弾が使われたかどうかは不明だと述べた。
「中国は慣例に従い、実弾使用の可能性を含め、こうした活動を行うとの警告を発した。この海域はオーストラリアの排他的経済水域(EEZ)の外側に当たる」と説明。「国防当局によると、オーストラリアやニュージーランドの資産に差し迫った危険はない」とした。
マールズ氏はABCラジオのインタビューで「彼らは通告という点では国際法を順守していたが、それは極めて直前の通告であったため、民間機はかなり急いで迂回しなければならないという状況に追い込まれた」と指摘。中国にこの海域での実弾演習理由などを尋ねていると明らかにした。
南アフリカでの20カ国・地域(G20)外相会合に出席しているウォン豪外相もABCテレビのインタビューで「今回の件と通告に関連する透明性について懸念を持っており、そのことについて(中国の)王毅外相と話し合うつもりだ」と語った。
一方、中国外務省の郭嘉昆報道官は記者会見で、人民解放軍南部戦区司令部が「遠洋での演習と訓練を行うために艦隊を組織した」と説明。「演習と訓練活動は、関連する国際法と国際慣行に従い、安全基準と専門的なオペレーションを維持した」と述べた。
ニュージーランドのコリンズ国防相は声明で「オーストラリアと同様、われわれの最大の関心事は国民、船舶、航空機の安全だ。ニュージーランドに現在危険はない」と述べた。