トランプ米大統領の銅・アルミ関税、国内消費者にコスト増の恐れ
1月28日、トランプ米大統領が銅とアルミニウムに輸入関税をかける方針を示したことを受け、アナリストや業界関係者は、米国では供給不足により価格が上昇すると警告した。ミシガン州ウォーカーで2024年9月撮影(2025年 ロイター/Brian Snyder)
[メルボルン 28日 ロイター] - トランプ米大統領が銅とアルミニウムに輸入関税をかける方針を示したことを受け、アナリストや業界関係者は28日、米国では供給不足により価格が上昇すると警告した。
トランプ氏は27日の演説で、コンピューターチップや医薬品、鉄鋼、アルミ、銅などに関税を課し、米国での生産を促す考えを明らかにした。
しかし、昨年の大統領選で公約に掲げた物価引下げが損なわれる可能性があるとアナリストは指摘している。
投資銀行バレンジョイ(シドニー)のアナリスト、ダニエル・モーガン氏はトランプ氏の通商政策について、「これらの関税は実施されるか、どの程度の規模になるか、誰が負担するかなど、不明な点がいくつかある」と断った上で、「最終的に関税は消費者が負担するのが一般的で、国内に代替品がない場合はそうなることが多い」と述べた。
米国のアルミや銅の製錬所は閉鎖が続いており、同氏は再開には新たなインフラや電力契約などさまざまな措置が必要で、いずれも時間がかかると指摘した。
リオ・ティントやアルコアなど海外のアルミメーカーが関税により収益面で打撃を受ける公算は小さく、コストは自動車メーカーに転嫁され、最終的には米国の消費者が負担することになるだろうと語った。
インド鉱業連盟(FIMI)の事務次長B・K・バティア氏は、米国はインドにとって最大のアルミ輸出先のため、インド政府がトランプ氏に関税を課さないよう説得することを期待していると述べた。
豪州国際銅協会(ICAA)のジョン・フェネル最高責任者(CEO)は、米国が銅に関税をかければ、アリゾナ州にあるリオ・ティントのレゾリューション鉱山のような新しい鉱山の開発が早まる可能性があるとの見方を示した。
「これはレゾリューションのような新しい鉱山にとっては良いことかもしれないが、それは何年も先のことであり、その間関税を支払う国内メーカーは痛みを感じることになるだろう」と語った。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングのシニアエコノミスト、芥田知至氏は、世界第3位の鉄鋼生産国である日本では、トランプ氏の1期目における鉄鋼・アルミ関税の影響は限定的だったと述べた。
日本の鉄鋼輸出の大半は付加価値の高い特殊製品で代替が難しいため、関税の対象から除外されたと指摘し、今回も同様のアプローチが予想されるとの見方を示した。
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