トランプ関税による貿易戦争、世界経済に「壊滅的」影響=WTO事務局長
世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長(写真)は23日、トランプ米大統領の関税引き上げ案がもたらす報復的な貿易戦争は世界経済の成長に壊滅的な結果をもたらすとの見方を示すとともに、各国に報復関税を控えるよう求めた。21日撮影(2025年 ロイター/Yves Herman)
Emma Farge
[ジュネーブ/ダボス(スイス) 23日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長は23日、トランプ米大統領の関税引き上げ案がもたらす報復的な貿易戦争は世界経済の成長に壊滅的な結果をもたらすとの見方を示すとともに、各国に報復関税を控えるよう求めた。
オコンジョイウェアラ氏は世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で、仮に報復措置を講じれば、関税率が25%であろうと60%であろうと1930年代のような状況に逆戻りし、「世界の国内総生産(GDP)の損失は2桁に上る」と指摘。その上で「その代償を全ての人が払うことになる」と述べた。
米国は1930年、大恐慌を受けて国内産業保護を優先するスムート・ホーリー法を制定。関税を大幅に引き上げたことが世界経済をさらに悪化させた経緯がある。
オコンジョイウェアラ氏はWTO加盟国に対し、関税が賦課されても他の解決手段があるとした上で、「冷静さを保ってほしい」と訴えるとともに、WTOの紛争解決制度を活用するよう求めた。