ニュース速報
ワールド

アングル:トランプ氏の娘婿クシュナー氏、新政権では水面下で影響力行使か

2025年01月17日(金)08時24分

 1月15日、トランプ次期米大統領の長女イバンカ氏とその夫ジャレッド・クシュナー氏は、第1次トランプ政権下でトランプ氏にほぼ制限なく接触できる立場を利用し、中東和平交渉や新型コロナウイルス向けワクチンの開発といった幅広い分野で影響力を行使していた。フロリダ州ウエストパームビーチで2024年11月撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)

Alexandra Ulmer

[15日 ロイター] - トランプ次期米大統領の長女イバンカ氏とその夫ジャレッド・クシュナー氏は、第1次トランプ政権下でトランプ氏にほぼ制限なく接触できる立場を利用し、中東和平交渉や新型コロナウイルス向けワクチンの開発といった幅広い分野で影響力を行使していた。

だが20日に幕を開ける第2次政権下では、イバンカ氏とクシュナー氏は公職には就かず、ワシントンから約1000マイル(1600キロメートル)離れたフロリダ州マイアミの自宅で過ごすと表明している。

クシュナー氏は現在、サウジアラビアやカタール、アラブ首長国連邦(UAE)からの投資を受けたプライベートエクイティ(PE)会社を経営。一方でイバンカ氏は政治から離れて3人の子育てに専念したいと話している。

だがクシュナー氏の仕事に詳しい消息筋によると、同氏は水面下で高官の人選を支援したり、一部閣僚を指導したりするなど、トランプ氏の中東戦略に助言する形で次期政権に関与している。

消息筋は、クシュナー氏は次期政権の大統領首席補佐官に指名されたスージー・ワイルズ氏に「極めて近く」、ワイルズ氏と定期的に話し合っていると指摘。クシュナー氏は、新政権の司法長官に指名されたパム・ボンディ前フロリダ州司法長官が連邦刑務所局の新たな局長を探す人選を支援するなど、新政権の一部人事に関与しているという。

さらにクシュナー氏は、新政権の中東担当特使に指名されたスティーブ・ウィットコフ氏に助言している。消息筋は、クシュナー氏は「スティーブ氏の(中東問題への)対応を加速させることと、同氏を戦略面で支援することに重点を置いてきた」と述べた。

トランプ次期政権がイスラエルとサウジアラビアの国交正常化を目指すとみられる中、中東問題への対応ではクシュナー氏が水面下で重要な役割を果たすことになりそうだ。

第1次トランプ政権下で駐スイス大使を務めたエド・マクマレン氏は「元大使として私が言えるのは、仮に私が中東で何かをすることになれば、最初に相談する相手はジャレット氏になるだろうということだ」と述べた。

倫理問題の専門家や民主党議員、一部の共和党議員は、クシュナー氏が第1次トランプ政権で大統領上級顧問として中東問題に取り組んだため、サウジアラビアからの20億ドルなど中東から同氏のPE会社への投資が利益相反に該当するのではないかと懸念を表明している。これに対しクシュナー氏は、こうした見方は間違っており、政治的な動機に基づいていると主張している。

クシュナー氏は昨年12月、同氏のPE会社がカタール投資庁とアブダビの投資家から総額15億ドルの資金を調達したと明らかにし、事業に専念する意向を示した。

一方でトランプ氏は、大統領選でトランプ陣営の選対本部長を務めたスージー・ワイルズ氏を大統領首席補佐官に起用するなど信頼できる側近のおかげで、第1次政権のときほど一族の助言を必要としていないようだ。

共和党のストラテジスト、デービッド・コチェル氏は「トランプ氏は自分の側近として、ずっと多くの専門家を起用している」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反落、一時500円超安 米大統領就任式控

ビジネス

午後3時のドルは一時1カ月ぶり154円台、日銀利上

ビジネス

12月末国内公募投信残高は前月比3.3%増の246

ビジネス

スペースXの宇宙船、打ち上げ後に空中分解 航空機運
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 2
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の超過密空間のリアル「島の社交場」として重宝された場所は?
  • 3
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 4
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    内幕を知ってゾッとする...中国で「60円朝食」が流行…
  • 7
    ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 10
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も阻まれ「弾除け」たちの不満が爆発か
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 8
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 9
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 10
    古代エジプト人の愛した「媚薬」の正体
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中