アングル:トランプ氏の娘婿クシュナー氏、新政権では水面下で影響力行使か
1月15日、トランプ次期米大統領の長女イバンカ氏とその夫ジャレッド・クシュナー氏は、第1次トランプ政権下でトランプ氏にほぼ制限なく接触できる立場を利用し、中東和平交渉や新型コロナウイルス向けワクチンの開発といった幅広い分野で影響力を行使していた。フロリダ州ウエストパームビーチで2024年11月撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
Alexandra Ulmer
[15日 ロイター] - トランプ次期米大統領の長女イバンカ氏とその夫ジャレッド・クシュナー氏は、第1次トランプ政権下でトランプ氏にほぼ制限なく接触できる立場を利用し、中東和平交渉や新型コロナウイルス向けワクチンの開発といった幅広い分野で影響力を行使していた。
だが20日に幕を開ける第2次政権下では、イバンカ氏とクシュナー氏は公職には就かず、ワシントンから約1000マイル(1600キロメートル)離れたフロリダ州マイアミの自宅で過ごすと表明している。
クシュナー氏は現在、サウジアラビアやカタール、アラブ首長国連邦(UAE)からの投資を受けたプライベートエクイティ(PE)会社を経営。一方でイバンカ氏は政治から離れて3人の子育てに専念したいと話している。
だがクシュナー氏の仕事に詳しい消息筋によると、同氏は水面下で高官の人選を支援したり、一部閣僚を指導したりするなど、トランプ氏の中東戦略に助言する形で次期政権に関与している。
消息筋は、クシュナー氏は次期政権の大統領首席補佐官に指名されたスージー・ワイルズ氏に「極めて近く」、ワイルズ氏と定期的に話し合っていると指摘。クシュナー氏は、新政権の司法長官に指名されたパム・ボンディ前フロリダ州司法長官が連邦刑務所局の新たな局長を探す人選を支援するなど、新政権の一部人事に関与しているという。
さらにクシュナー氏は、新政権の中東担当特使に指名されたスティーブ・ウィットコフ氏に助言している。消息筋は、クシュナー氏は「スティーブ氏の(中東問題への)対応を加速させることと、同氏を戦略面で支援することに重点を置いてきた」と述べた。
トランプ次期政権がイスラエルとサウジアラビアの国交正常化を目指すとみられる中、中東問題への対応ではクシュナー氏が水面下で重要な役割を果たすことになりそうだ。
第1次トランプ政権下で駐スイス大使を務めたエド・マクマレン氏は「元大使として私が言えるのは、仮に私が中東で何かをすることになれば、最初に相談する相手はジャレット氏になるだろうということだ」と述べた。
倫理問題の専門家や民主党議員、一部の共和党議員は、クシュナー氏が第1次トランプ政権で大統領上級顧問として中東問題に取り組んだため、サウジアラビアからの20億ドルなど中東から同氏のPE会社への投資が利益相反に該当するのではないかと懸念を表明している。これに対しクシュナー氏は、こうした見方は間違っており、政治的な動機に基づいていると主張している。
クシュナー氏は昨年12月、同氏のPE会社がカタール投資庁とアブダビの投資家から総額15億ドルの資金を調達したと明らかにし、事業に専念する意向を示した。
一方でトランプ氏は、大統領選でトランプ陣営の選対本部長を務めたスージー・ワイルズ氏を大統領首席補佐官に起用するなど信頼できる側近のおかげで、第1次政権のときほど一族の助言を必要としていないようだ。
共和党のストラテジスト、デービッド・コチェル氏は「トランプ氏は自分の側近として、ずっと多くの専門家を起用している」と語った。
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