台湾と中国が当局間で言葉の応酬、海底ケーブル損傷巡り
台湾北部海域で先週、海底ケーブルが損傷を受けた問題で、台湾と中国の当局間で激しい言葉の応酬が起きている。写真は中国と台湾の旗。2022年8月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)
[台北/北京 9日 ロイター] - 台湾北部海域で先週、海底ケーブルが損傷を受けた問題で、台湾と中国の当局間で激しい言葉の応酬が起きている。
関与が疑われている貨物船の船主は8日、ロイターの取材に応じ、損傷に関与した証拠はないと話したが、台湾は中国の関連船舶の仕業と疑い、警戒モードに入っている。
台湾の海巡署(海上保安庁に相当)によると、当該船の船籍はカメルーンとタンザニアの両国となっているものの、船主は香港企業。海巡署は同船が「グレーゾーン」の行動に関与した「可能性は否定できない」と表明した。
ただ、海巡署艦艇は損傷が起きた際、悪天候のため現場海域を調べられなかった上、同船の関与を示す直接的証拠は示していない。
グレーゾーン行動とは、台湾を国土の一部と主張する中国が直接の武力衝突なしに台湾島を中心とした地域に圧力をかけるもので、気球を上空通過させたり、周辺海底の砂をかき集めたりする。台湾はこれまで繰り返し批判しており、ケーブル損傷もその一環と見て改めて警戒を強めている。
中国の国務院台湾事務弁公室は8日夜、海底ケーブル損傷は「よくある海の事故」なのに台湾は「根拠もなく」非難し、「いわゆる中国本土からのグレーゾーンの脅威」を意図的に煽っていると反発した。
これに対し台湾で対中政策を主管する大陸委員会は証拠に基づいて調査を続けるとの見解を表明しつつも「国際的に、中国本土の便宜置籍船(FOC、税制メリットがある国に登録した外航船)は疑わしい行為の代名詞だ」と言明。その上で、バルト海で最近判明した海底ケーブル損傷で複数の中国船の関与が疑われ、周辺諸国が捜査に乗り出していることを指摘した。
さらに大陸委員会は、台湾が実効支配し中国本土に近い金門島や馬祖列島につながる海底ケーブルの複数回線が損傷を受けたことも挙げた。
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