シリア北部国境、米仏軍が安全保障役となる案を協議=クルド人勢力
1月8日、シリア北部の広範囲を支配するクルド人勢力幹部のイルハム・アフメド氏は、クルド人民兵組織とトルコの紛争停止のために米国とフランスの軍部隊が国境の安全保障に従事する案が協議されていると明らかにした。写真はクルド人民兵組織の人民防衛部隊(YPG)などの旗が描かれた壁。シリアのカーミシュリーで昨年12月撮影(2025 ロイター/Orhan Qereman)
John Irish
[パリ 8日 ロイター] - シリア北部の広範囲を支配するクルド人勢力幹部のイルハム・アフメド氏は、クルド人民兵組織とトルコの紛争停止のために米国とフランスの軍部隊が国境の安全保障に従事する案が協議されていると明らかにした。フランス語放送「TV5モンド」が発言を伝えた。
トルコ政府はクルド人民兵組織、人民防衛部隊(YPG)が要求に応じない場合、シリア北東部に越境攻撃をかけると警告している。
YPGは米国と連携するシリア民主軍(SDF)の中心的な組織。2014─17年における過激派組織のイスラム国(IS)掃討作戦では米国、フランスとともに重要な役割を果たし、シリア国内のIS戦闘員収容施設の管理も任されてきた。
ただ、アサド政権崩壊後は立場が弱まり、トルコとの争いが続く。トルコは、テロ組織に指定しているクルド労働者党(PKK)とYPGにつながりがあると見ている。
こうした中でアフメド氏は「米国とフランスが国境全体の安全を保障する可能性がある。われわれにはこの軍事的な協力関係が安全保障の責任を担う用意ができている」と述べた。
さらに「われわれはフランスに国境へ部隊を派遣し、非武装地帯の警備に携わって、われわれが地域を守りトルコとの良好な関係を築くのを手助けしてほしいと要請する」と付け加えた。
トルコがこのような措置を受け入れるかどうかは分からない。同国は何年も前から、シリア国境から生じる脅威を独自に防ぐ取り組みを実施し、YPGを壊滅すると表明しているからだ。
それでもアフメド氏は「フランスが国境への部隊展開でトルコの同意を取り付ければ、われわれはすぐに和平プロセスを開始できる。数週間以内に全てが解決されると期待している」と語った。
事情に詳しい関係者の1人は、こうした協議が行われていると認めたものの、具体的な進展状況や実現の可能性がどの程度あるかについては言及していない。
フランスのバロ外相は「シリアのクルド人勢力は現在の政治体制転換において居場所を見つけなければならない。われわれは彼らに借りがある。なぜならIS掃討において戦友だったからだ」と述べ、フランスとしてトルコの安全保障を確保しながらシリアのクルド人の利益にもなる道を追求し続けると強調した。
ブリンケン米国務長官は、SDFが拘束した1万人余りのIS戦闘員の管理を継続できるようにすることが大事で、これは米国とトルコの双方にとって安全保障上の適切な利益になると説明した。
米国は現在、ISの力が盛り返すのを防ぐためシリア国内に約2000人の部隊を配置し、SDFと協力している。
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