ニュース速報
ワールド

ロシア中銀、予想外の金利据え置き 過去の引き締めが効果

2024年12月21日(土)01時36分

 ロシア中央銀行は20日、政策金利を予想外に21%に据え置いた。ロシア中銀の表札。2023年8月撮影(2024年 ロイター/Shamil Zhumatov)

Elena Fabrichnaya Gleb Bryanski

[モスクワ 20日 ロイター] - ロシア中央銀行は20日、政策金利を予想外に21%に据え置いた。これまでの引き締めにより、インフレ率が目標に向けて低下する環境が整ったと説明した。

市場は2%ポイントの引き上げを予想していた。

財界からは、利上げが投資を阻害しているとの不満の声が上がっていた。プーチン大統領は19日の年次会見で、ロシア経済は過熱の兆候が見られ、高いインフレを招いているとの認識を示す一方で、中銀が20日に「バランスの取れた」判断をすることを期待していると述べた。

ナビウリナ中銀総裁は記者会見で「金利が高水準にあるときや、中銀が利上げを実施しているときは政策への批判が強まる」とし、「中銀は状況を検証し、予測に基づいて決定を下している」と述べ、圧力に屈したとの見方を否定した。

中銀は声明で「借り入れ金利が顕著に上昇し、与信活動が低迷していることを考慮すると、金融引き締め達成によって、ディスインフレのプロセスを再開し、インフレ率が目標に戻るのに必要な前提条件が整った」と述べた。

インフレ率は9.5%と目標の4%を大きく上回っている。しかし中銀は、引き締め政策がすでに貸し出しを鈍化させ、内需を減退させているとし、2月14日の次回会合で利上げの必要性を評価すると述べた。

中銀は法的に独立が保証され、プーチン大統領もナビウリナ総裁に政策運営を委ねてきた。しかしアナリストは財界からの圧力は無視できないほど強くなっていると指摘。「圧力が効を奏し、中銀は(利上げ)停止を決定した」とエコノミストのエフゲニー・コーガン氏は述べた。

対ウクライナ戦費に加えルーブル安がインフレが押し上げている。中銀はインフレのバランスが依然かなり上向きに傾いていると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米高官、シリア訪問 暫定政府指導部と初の対面での公

ビジネス

来年の利下げ幅、従来より縮小すると予想=シカゴ連銀

ワールド

ロシア、キーウへミサイル攻撃 複数の大使館に被害

ワールド

ロシア中銀、予想外の金利据え置き 過去の引き締めが
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「汚い観光地」はどこ?
  • 6
    国民を本当に救えるのは「補助金」でも「減税」でも…
  • 7
    クッキーモンスター、アウディで高速道路を疾走...ス…
  • 8
    「え、なぜ?」南米から謎の大量注文...トレハロース…
  • 9
    大量の子ガメが車に轢かれ、人間も不眠症や鬱病に...…
  • 10
    「中国を止めろ!」沖縄上空で米軍<核>爆撃機と航…
  • 1
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 2
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 5
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 6
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 7
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 8
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中