アングル:温室効果ガス削減目標、政府案に与党から異論 「1.5度目標」に整合せず
12月18日、日本の温室効果ガスの新たな削減目標として、政府が提示した案に対し、脱炭素を目指す企業や専門家のみならず、与党の公明党からもパリ協定に定めた「1.5度目標」に整合せず、低すぎるとの指摘が出ている。2022年、都内で撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)
Ritsuko Shimizu Makiko Yamazaki
[東京 18日 ロイター] - 日本の温室効果ガスの新たな削減目標として、政府が提示した案に対し、脱炭素を目指す企業や専門家のみならず、与党の公明党からもパリ協定に定めた「1.5度目標」に整合せず、低すぎるとの指摘が出ている。日本は世界第2位の液化天然ガス(LNG)輸入国であり、中東産石油の主要消費国でもあることから、そのエネルギー戦略は石油、ガス、石炭の生産国から注目されている。
環境省と経済産業省は、11月25日の審議会で、2035年度のNDC(国が定める削減貢献)目標案を2013年度比60%削減する案を示した。
政府案では2030年までの日本の既存の46%削減目標と2050年までのネットゼロの間を直線的に結んだ軌道を想定している。温室効果ガスの削減により経済成長が抑制されることがないよう、その両立を重視している。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、世界の平均気温を産業革命前から1.5度上昇にとどめるという「1.5度目標」を実現するには、2035年までに19年比60%削減する必要があるという。これを13年度比にすると66%削減となる。
自民党と連立を組む公明党は、66%削減を求めて政府に提言を提出した。
公明党で地球温暖化対策本部長を務める谷合正明議員はロイターに対し「日本は科学的なアプローチに基づいた目標を設定すべきであり、IPCCが提示した目標と同等であるべきだと考えている」と述べた。
気候変動に関する重要な国際条約であるパリ協定の署名国は、5年ごとにNDCと呼ばれる気候変動に関する国別自主目標を更新することが義務付けられている。
イギリスは2035年までに90年比で81%の削減を約束している。
Climate Integrate代表理事の平田仁子氏は「このままだと日本の目標は先進国の中でも最も緩いと言われ、一番やる気がないという状況で、科学に向き合っていないということになる」と懸念を示す。
今後、政府は審議会でさらに議論を重ねた後、年末までに目標を最終決定したい考えだが、審議会のメンバーからは、目標設定プロセスが性急すぎる、と疑問を呈する声も出ている。
谷合氏は「政府が1.5度目標に整合的だと主張するなら、その説明をしっかりとしなければならない」と話している。
気候危機の解決を求める若者グループと国際環境NGOは19日に「81%削減」に引き上げるよう求める抗議アクションを予定している。
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