アングル:トランプ氏、就任初日に25以上の大統領令を計画
12月17日、トランプ次期米大統領(写真)は来年1月20日の就任初日に一連の大統領令と指令を出し、不法移民からエネルギーまで全ての問題にわたって新大統領として影響力を見せつける計画だ。写真は米フロリダ州パームビーチで16日撮影(2024 ロイター/Brian Snyder )
[ワシントン 17日 ロイター] - トランプ次期米大統領は来年1月20日の就任初日に一連の大統領令と指令を出し、不法移民からエネルギーまで全ての問題にわたって新大統領として影響力を見せつける計画だ。
複数の情報筋によると、就任初日に少なくとも25の命令を発出し、その後数日から数週間でさらに追加する計画という。
これまでに分かっていることは以下の通り。
<不法移民>
トランプ氏が大統領就任初日に計画している行動の大半は、不法移民の取り締まり強化と、過去最大規模の不法滞在者を国外に追放するという公約の実行が目的だ。
ロイターは11月、連邦移民局の係官が犯罪歴のない人々を逮捕する権限を拡大される上、メキシコ国境への部隊増派や国境の壁の建設再開も行われることになる見通しだと報じている。
トランプ氏は、国防予算の一部を国境の壁建設に振り向けるため、不法移民問題を国家非常事態と宣言するとみられる。11月に自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、不法移民の国外追放計画の一環として軍事力を転用する意向を示唆した。
トランプ氏はまた、民主党のバイデン大統領が導入した一時的な入国許可政策を終了する方針だ。同政策では特定の国々からの移民数十万人に人道的な理由で合法的な入国と労働許可証の取得を認めてきた。
さらにトランプ氏は、不法滞在の親が米国で出産した子どもに市民権を自動的に付与することを廃止すると公約しており、側近によれば、公約実現の大統領令を準備中だという。
ただ、憲法修正第14条は「米国で生まれ、または帰化した全ての者に市民権を付与する」と規定しており、出生地主義の廃止に動けば法廷闘争が巻き起こる可能性がある。
<エネルギー>
政権移行チームの計画に詳しい複数の情報筋によると、トランプ氏は、就任後数日内に電気自動車(EV)関連から気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱まで、あらゆることを対象とした一連の大統領令発出を検討しているという。
ロイターが確認した文書によると、政権移行チームのメンバーは、EVと充電スタンドへの支援を打ち切り、中国からの自動車や部品、蓄電池材料の輸入を阻止する措置を強化する抜本的な政策変更を提起している。
また同チームは、世界中から輸入する蓄電池材料の全てに関税を課すことで、国内生産量の押し上げに取り組み、関税導入後は同盟国と免除を巡って個別交渉することも提言している。
大統領令発出の際、バイデン大統領が発電所に課した気候変動対策の各種規制の撤回や、液化天然ガス(LNG)の輸出停止措置の終了も追求される可能性が高い。また、大気汚染対策を巡っても、カリフォルニアなどの州が政府よりも厳しく規制できる特例措置の取り消しを目指しそうだ。
<関税>
大統領就任初日か、政権始動から間もない段階で想定される動きの1つは、主要貿易相手の諸国から輸入するモノに課す関税を上げるという威嚇行為を完全に実行に移すことだ。
トランプ氏は、関税が米経済成長を促進すると考えているが、コストは最終消費者の価格に転嫁される恐れが強いと問題視する反対意見も出ている。
<恩赦>
また、トランプ氏は2021年1月6日の米議会襲撃事件に関わった人達のうち、一部に恩赦を与える大統領令についても政権始動から早い時期に出す可能性がある。詳細は不明だがトランプ氏は大統領就任初日に対処する方針を表明済みだ。
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