イエレン米財務長官、次期政権の金融監視態勢後退をけん制
12月6日、トランプ次期米政権が金融のシステミックリスク監視態勢を再び後退させるとの懸念が高まっているのを受け、イエレン財務長官は、米規制当局でつくる金融安定監視評議会(FSOC)の活動を継続させることが「極めて重要」だと警鐘を鳴らし、次期政権の姿勢をけん制した。米首都ワシントンで10月23日撮影(2024年 ロイター/Kaylee Greenlee Beal)
Pete Schroeder
[ワシントン 6日 ロイター] - トランプ次期米政権が金融のシステミックリスク監視態勢を再び後退させるとの懸念が高まっているのを受け、イエレン財務長官は、米規制当局でつくる金融安定監視評議会(FSOC)の活動を継続させることが「極めて重要」だと警鐘を鳴らし、次期政権の姿勢をけん制した。
FSOCは2007―09年の世界的な金融危機後にシステミックリスクを監視するため設立された組織。この日イエレン氏は、バイデン政権下では最後となるFSOCの会合で演説した。
演説草稿によると、トランプ第1次政権下では委員会スタッフ人数が1桁に縮小され、省庁間調整を支える仕組みも大幅に縮小されたと振り返り、「金融システムに対するリスクを特定し、対応する能力が低下していた」と批判。その後のバイデン政権がFSOCを立て直したことで「金融システムの回復力を以前よりも高め、経済をより強固なものにしてきた。米国民の利益のためFSOCがそうあり続けることが極めて重要だ」と述べた。
FSOCは年次報告書で商業用不動産や民間信用、暗号通貨(仮想通貨)の潜在的リスクに改めて強く注視を促し、規制当局と企業が脆弱性を監視する上で警戒を怠らないよう呼びかけた。イエレン氏は年次報告書に絡め、次期政権もシステミックリスクへの備えを十分に行うよう求めた形だ。