ニュース速報
ワールド

米の中東停戦交渉が不発に終わる、外交筋「提案は非現実的」

2024年11月02日(土)06時16分

イスラエルとイラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラ間の戦闘停止に向けた米国の取り組みが不発に終わったことが分かった。写真はホックスティーン米特使。10月撮影(2024年 ロイター/Mohamed Azakir)

Maya Gebeily

[ベイルート 1日 ロイター] - イスラエルとイラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラ間の戦闘停止に向けた米国の取り組みが不発に終わったことが分かった。米国が作成した停戦案が「非現実的」だったためという。関係筋がロイターに語った。

ヒズボラに近いレバノンの政府筋や外交筋など複数の関係筋によると、実行可能な提案が提示されていないため、紛争は数カ月にわたって続く可能性があるという。

イスラエルのネタニヤフ首相側からの回答は得られていない。

米当局者は、10月31日に行われた米特使とイスラエル当局者との協議は予想よりも良い結果をもたらしたと述べた。別の米当局者は、協議は「実質的」かつ「建設的」だったと評価した。ただ、米国は公開の場で交渉するつもりはないと述べた。

米国務省はロイターに対し、ブリンケン国務長官のコメントを引用し、イスラエルとレバノンは紛争終結に必要な事項について合意に向かっているが、さらなる取り組みが必要だと述べた。

イスラエルの国営放送局カンによると、米は、ヒズボラのレバノン南部国境からの撤退と双方の攻撃停止、レバノン軍1万人が南部に展開することなどを含む60日間の停戦案を作成した。

しかし、2人の外交官によると、外交努力が失敗したのはその案が実行不可能だったためだ。「問題を解決する責任をレバノン軍に負わせるという点で、これは全く非現実的だ」(西側外交官)という。

ある中東の外交官も同様の疑念を表明。中でもカンが報じた、イスラエルの安全保障に対する差し迫った脅威に対して行動を起こす権利を与えたとされる米国とイスラエル間の「サイドレター」の存在を問題視した。

レバノン政府はこの草案について公式にはコメントしていないが、当局者はロイターに対し、イスラエルが合意の「直接執行」を主張することは国家主権の侵害となるだろうと語った。

10月31日に停戦協議のためイスラエルを訪問していたホックスティーン米特使と大統領顧問のブレット・マガーク氏は、レバノンへは向かわなかった。

ヒズボラに近いレバノンの政府筋は「昨日の交渉で終わりだ。もう戦場でしか決まらないようだ」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏の政敵への発言、州法違反の可能性=アリゾ

ワールド

北朝鮮、ミサイル発射は「自衛」のため─金与正氏=K

ワールド

ウクライナへの武器供与に「あらゆるシナリオを検討中

ワールド

ガザ北部「破滅的」、攻撃停止と民間人保護呼びかけ 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後はさらなる「倒産増加」が予想される
  • 2
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄道計画が迷走中
  • 3
    脱北者約200人がウクライナ義勇軍に参加を希望 全員が従軍経験者
  • 4
    「第3次大戦は既に始まっている...我々の予測は口に…
  • 5
    「謹んで故人の冥福を祈ります」 SMなど音楽事務所へ…
  • 6
    「もう遅いなんてない」91歳トライアスロン・レジェ…
  • 7
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 8
    天文学者が肉眼で見たオーロラは失望の連続、カメラ…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    北朝鮮軍とロシア軍「悪夢のコラボ」の本当の目的は…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 3
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後はさらなる「倒産増加」が予想される
  • 4
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符…
  • 5
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」…
  • 6
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体…
  • 7
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 8
    「決して真似しないで」...マッターホルン山頂「細す…
  • 9
    【衝撃映像】イスラエル軍のミサイルが着弾する瞬間…
  • 10
    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…
  • 1
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 2
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 3
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 8
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 9
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 10
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中