イスラエル、レバノン国連部隊に砲撃・退避勧告 隊員2人負傷
国連レバノン暫定軍(UNIFIL)のレバノン南部の拠点3カ所が10日、イスラエル軍による発砲を受けた。写真はレバノン南部で2023年10月撮影(2024年 ロイター/Thaier Al-Sudani)
[ベイルート/エルサレム/ローマ/国連 10日 ロイター] - 国連レバノン暫定軍(UNIFIL)は10日、南部ナクラにある本部の監視塔がイスラエル軍の戦車による砲撃を受け、隊員2人が負傷したと発表した。UNIFILの別の2拠点も攻撃を受けたが、そちらでは死傷者はなかった。
UNIFILは「平和維持部隊に対するいかなる意図的な攻撃も国際人道法の重大な違反だ」と批判する声明を出した。
イスラエル軍は声明で、自国の部隊が「UNIFIL基地に隣接した」ナクラ地域で作戦活動を行ったと述べた。イスラエル軍は国連軍に対し保護された場所に留まるよう指示した上で発砲したという。また、UNIFILとの定期的な連絡を維持しているとも述べた。
米ホワイトハウスは攻撃の報道を受け、深く懸念しておりイスラエルに詳細な説明を求めていると述べた。
イタリアのクロゼット国防相は、国連平和維持部隊の拠点に向けた攻撃は戦争犯罪の可能性があるとして非難。イスラエル大使を呼んで説明を求める考えを明らかにした。
国連平和維持活動部長のジャンピエール・ラクロワ氏は「レバノンにおける国連軍の安全と治安がますます危険にさらされている」と懸念を表明。UNIFILは基地内に閉じ込められ長時間シェルターに避難しており、活動は9月23日以降、事実上停止状態にあると明らかにした。
これに先立ち、イスラエルのダノン国連大使は10日、レバノン南部に駐留する国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に対し、5キロメートル北方への退避を勧告すると述べた。イスラエルとイラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラとの戦闘が激化する中、危険回避を要請するとした。
ダノン氏はイスラエルがレバノンに留まるつもりはないとした上で「ヒズボラをレバノン北部の国境から追放し、北部の住民7万人が帰還するために必要なことを行う」と表明した。
UNIFILは6日、レバノン南西部の拠点付近でのイスラエル軍の「活動」に懸念を示し、「国連安全保障理事会から任務を与えられている国連平和維持軍の安全を危険にさらすことは容認できない」と表明していた。
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