ニュース速報
ワールド

EUが中国製EV関税発動へ、加盟国の支持獲得 協議も継続

2024年10月05日(土)00時34分

 10月4日、 欧州連合(EU)欧州委員会は、中国製電気自動車(EV)に対する追加関税発動案について、加盟国から必要な支持を得たと表明した。BYDのEV車。メキシコシティで2月撮影(2024年 ロイター/Toya Sarno Jordan)

Philip Blenkinsop

[ブリュッセル 4日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は4日、中国製電気自動車(EV)に最大45%の輸入関税を課す案について採決を行い、加盟国から十分な支持を得たと発表した。追加関税が発動される見通しとなったが、欧州委は「代替的な解決策」を見いだすために中国との交渉を継続する方針も示した。

中国商務省は、欧州委の発表に強い反対を表明し「不公正、非順守、不合理」な保護主義的慣行だと批判した。ただ、欧州委が交渉継続の方針を示したことを受け、10月7日に実務レベルの協議をすると述べた。

欧州委は1年にわたる反補助金調査を経て、不当と見なす中国の補助金に対抗するため、今後5年間に課す最終的な関税を提案した。

複数のEU筋によると、採決では加盟国のうち10カ国が賛成し、5カ国が反対票を投じた。棄権が12カ国だったという。

複数の関係筋によると、ドイツは反対した。

この提案を阻止するには、EU人口の65%を占める加盟15カ国以上の反対が必要だった。ロイターは2日、フランス、ギリシャ、イタリア、ポーランドが賛成票を投じ、採択される可能性が高いと報じていた。

<「間違ったアプローチ」>

BMWのオリバー・ツィプセ最高経営責任者(CEO)は「欧州自動車産業にとって致命的な兆候」と指摘。貿易紛争を防ぐために欧州委と中国当局が早急な解決策を見出す必要があると述べた。

フォルクスワーゲンは、追加関税は「間違ったアプローチ」だと述べた。

ステランティスは、自由で公正な競争を支持するとした上で、自動車業界は、CO2削減への取り組みと中国の攻勢による圧力を受けていると述べた。

中国の吉利汽車は「欧州委員会の決定に大いなる失望を表明する」とし、追加関税はEUと中国の経済・貿易関係を阻害し、最終的には欧州企業や消費者の利益を損なうことになると指摘した。

<EU内に見解の相違>

今回の採決結果は、EU内に存在する対中通商関係を巡る見解の相違を反映。一部の国は過剰な政府補助金の疑いに対する強硬姿勢を示す一方、中国の投資促進を望む国のほか、中国による報復措置を恐れる国もある。

ハンガリーのオルバン首相は、EUは中国との「経済冷戦」に向かっていると非難。一方、フランス自動車工業会(PFA)はEUが関税を支持したことを歓迎し、公平である限り自由貿易を支持すると表明した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日鉄、ホワイトハウスが「不当な影響力」と米当局に書

ワールド

米議会、3月半ばまでのつなぎ予算案を可決 政府閉鎖

ワールド

焦点:「金のDNA」を解読、ブラジル当局が新技術で

ワールド

重複記事を削除します
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、何が起きているのか?...伝えておきたい2つのこと
  • 4
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「汚い観光地」はどこ?
  • 7
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 8
    国民を本当に救えるのは「補助金」でも「減税」でも…
  • 9
    映画界に「究極のシナモンロール男」現る...お疲れモ…
  • 10
    クッキーモンスター、アウディで高速道路を疾走...ス…
  • 1
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 4
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 5
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 8
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中