トランプ氏、メキシコ移転なら200%関税と農機ディアけん制
9月23日、11月5日の米大統領選の共和党候補トランプ前大統領(写真)は、激戦州の東部ペンシルベニア州で演説し、政権返り咲き後に「ジョンディア」ブランドを展開する米農業機械大手ディアが生産拠点を計画通りメキシコに移せば、米国が輸入するディアのメキシコ製品に200%の関税を課すと強くけん制した。写真は米ペンシルベニア州 で撮影(2024 ロイター/Brian Snyder)
Gram Slattery Kanishka Singh
[ワシントン 23日 ロイター] - 11月5日の米大統領選の共和党候補トランプ前大統領は23日、激戦州の東部ペンシルベニア州で演説し、政権返り咲き後に「ジョンディア」ブランドを展開する米農業機械大手ディアが生産拠点を計画通りメキシコに移せば、米国が輸入するディアのメキシコ製品に200%の関税を課すと強くけん制した。
トランプ氏は同州西部ピッツバーグ郊外で農家などが集まったイベントで演説。「周知の通り、彼ら(ディア)は数日前に製造部門の多くをメキシコに移すと発表した」と言及した上で「仮にそうするのであれば、米国で売りたいもの全てに200%の関税をかけると、まさに今、私はジョンディアに通告しているところだ」と強調した。
ディアの株価は23日に前週末より0.75%上昇したが、取引時間終了後の時間外取引で一時1.5%超下げた。ディアの担当者はコメント要請に応じなかった。
ディアは今年、米中西部で数百人の従業員を解雇し、メキシコで生産能力を増強すると発表していた。この決定は従業員と一部の政治指導者を動揺させた。
トランプ氏はメキシコに生産拠点を移す自動車メーカーが、製品を米国に輸入する場合に200%の関税をかけるとたびたび発言していたが、農機メーカーをけん制したのは今回が初めてとみられる。
また、トランプ氏は大統領だった2020年1月15日に米国と中国の両政府が貿易協議のいわゆる「第1段階」合意に署名したことにも触れ、中国が合意内容を順守する必要性を強調。自身が再選した場合、習近平国家主席に500億ドル相当の米国産農産物を購入する契約を履行するよう圧力をかけると述べた。
トランプ氏は再選後「最初に電話する相手は恐らく習氏だろう。私はあなたが決めた契約を守らなければならないと言う。あなたが500億ドル相当の米国産農産物を買うという契約だった。私は彼が買うと(イベント参加の皆さんに)約束する。彼は100%買う」と語った。
農家と工業労働者はトランプ氏陣営にとって鍵を握る支持基盤。民主党候補ハリス副大統領に勝つには彼らの票を引き寄せることが重要になる。特にペンシルベニア州は激戦のため喫緊の課題だ。世論調査では僅差の戦いが続いていることを示している。