ニュース速報
ワールド

金総書記視察のウラン濃縮施設、平壌近郊の未申告施設と専門家

2024年09月16日(月)16時22分

 北朝鮮国営メディアが13日公開した、金正恩朝鮮労働党総書記が視察したウラン濃縮施設について、専門家は首都平壌郊外の降仙(カンソン)にある未申告の施設との見方を示している。北朝鮮中央通信提供(2024年 ロイター)

Ju-min Park Josh Smith

[ソウル 15日 ロイター] - 北朝鮮国営メディアが13日公開した、金正恩朝鮮労働党総書記が視察したウラン濃縮施設について、専門家は首都平壌郊外の降仙(カンソン)にある未申告の施設との見方を示している。

朝鮮中央通信(KCNA)は13日、金正恩朝鮮労働党総書記がウラン濃縮施設を訪れ、生産ラインの稼働状況を視察したと伝えた。遠心分離機がずらりと並んだ列の間を歩く金氏を写した写真も公開した。北朝鮮がウラン濃縮施設の内部を公開するのは異例だ。

北朝鮮ウォッチャーやアナリストは、降仙の施設は秘密のウラン濃縮施設の可能性があると指摘する。

ミドルベリー国際問題研究所の核不拡散専門家ジェフリー・ルイス氏は、KCNAが公開した「大」ホールと別館を含む施設内部の5つの画像は、核施設の衛星画像の特徴と一致していると述べた。

別館の奇妙な形、珍しい柱と梁のセットは、北朝鮮が今年建設した施設と「強く一致」しているとし「降仙の可能性が高い。それは濃縮施設だ」とした。

北朝鮮にはウラン濃縮施設が複数あると考えられている。

北朝鮮を監視するウェブサイトNK Proの上級分析特派員コリン・ズウィルコ氏も、写真と衛星画像から降仙にある施設だとみられると指摘した。

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は6月、降仙の複合施設の本館に新たな別館が今年建設されると述べた。この複合施設は「申告された寧辺の遠心分離機濃縮施設とインフラの特徴とを共有している」と付け加えた。

米ワシントンの北朝鮮監視プログラム「38ノース」はメモで「(写真の)カスケードとホールの大きさは、相当な収容能力があることを示している。おそらく金正恩氏が命じた『幾何級数的に増やす』レベルではないが、かなりの増加だ」と述べた。「遠心分離機は北朝鮮が設計・製造した可能性が高い」と述べ、場所は寧辺である可能性があると付け加えた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独ポルシェ、通期の業績予想引き下げ 第1四半期は中

ビジネス

HSBC、第1四半期は25%減益 関税巡る経済リス

ビジネス

ドイツ銀行、第1四半期は予想上回る39%増益 関税

ビジネス

独消費者信頼感、5月は改善 関税巡る不確実性なお重
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    【クイズ】米俳優が激白した、バットマンを演じる上…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中