ニュース速報
ワールド

トランプ氏の関税引き上げ案、海上運賃高騰招くと専門家

2024年09月12日(木)19時05分

米国のトランプ前大統領(写真)が11月の大統領選で勝利した場合に輸入関税の引き上げを計画していることについて、専門家は2017─21年のトランプ政権時代のような海上運賃の高騰につながるとの見方を示している。ラスベガスで8月撮影(2024年 ロイター/David Swanson)

Lisa Baertlein

[ロサンゼルス 12日 ロイター] - 米国のトランプ前大統領が11月の大統領選で勝利した場合に輸入関税の引き上げを計画していることについて、専門家は2017─21年のトランプ政権時代のような海上運賃の高騰につながるとの見方を示している。

トランプ氏は国内製造業の活性化を目指し、事実上全ての輸入品に一律で10─20%の関税を課すとともに、中国製品については60%以上の関税をかける方針を示している。

海運情報会社ゼネタのチーフアナリスト、ピーター・サンド氏は 「トランプ氏の輸入関税は『歴史は繰り返す』のパターンであり、海上コンテナ輸送料金の急騰を招く。そのコストは消費者が負担することになる」と述べた。

コンテナ輸送を多用する小売り大手ウォルマートなどが加盟する全米小売業協会(NRF)はトランプ氏の計画に反対。「関税は輸入品に対する税金であり、隠れた売上税のように機能する」とし、コスト増加で消費者が打撃を受けると主張している。

全米靴流通販売業協会(FDRA)のマット・プリースト代表は「関税によって国内生産を維持できなかった典型例がわれわれだ」とし、現在、靴の99%が輸入されていると述べた。FDRAは政策担当者と協議し、国内消費者が関税を支払うことになると訴える方針という。

18年にトランプ政権が新たな関税を発表すると、海上コンテナ輸送料金は70%以上急騰。荷主が船舶・トラック・貨物列車の空きスペースを求めて争う形となり、サプライチェーンが混乱した。陸揚げされた商品が港湾や倉庫に溢れ、家具・履物・鉄鋼などさまざまな商品が値上がりした。

海上運賃はイエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海で商船を攻撃していることを受けて、すでに値上がりしている。これに加え、年末商戦向けの商品や原材料の輸入が急増しており、上海からニューヨークへの40フィートコンテナ輸送料金は最近1万ドルに達した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン大統領、ロシアとの関係深化へ ショイグ氏と会

ビジネス

JPモルガン、アップルのクレジットカード事業取得へ

ワールド

レバノンで通信機器爆発、3000人弱負傷 ヒズボラ

ワールド

ロシア軍、ウクライナ東部ウクラインスク制圧=報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...試聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 2
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰だこれは」「撤去しろ」と批判殺到してしまう
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 5
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 6
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 7
    原作の「改変」が見事に成功したドラマ『SHOGUN 将軍…
  • 8
    バルト三国で、急速に強まるロシアの「侵攻」への警…
  • 9
    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…
  • 10
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 7
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 8
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...試聴した「禁…
  • 9
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 10
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 8
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 9
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 10
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中