英首相、向こう10年で国家医療制度の抜本改革に取り組む方針
9月11日、スターマー英首相(写真)は12日に行う演説で、国家医療制度(NHS)の抜本的改革に10年かけて取り組む方針を表明する。写真はイギリスのウッドストックでの代表撮影(2024 ロイター)
[ロンドン 11日 ロイター] - スターマー英首相は12日に行う演説で、国家医療制度(NHS)の抜本的改革に10年かけて取り組む方針を表明する。首相官邸が事前に演説内容を公表した。
NHSについては、既に政府が委託した外部報告書で危機的状況にあると指摘されている。新型コロナウイルスのパンデミックや選択的な手術執行の遅れ、労働争議などの問題からなかなか立ち直れないためだ。
保守党の前政権は長時間の診療待ち問題に十分対処できず、NHSの下で働く看護師らの賃上げストを非難していた。
7月の総選挙で大勝したスターマー氏はこの争議解決を最優先事項として掲げているほかに、高齢化が進展する中で医療費が跳ね上がる事態に増税なしで対処するには、場当たり的でないNHSの「大々的な外科手術」が必要だと強調している。
スターマー氏は今回の演説で「働く人々にはこれ以上支出を増やす余裕がないと分かっている」と述べ、NHS改革が必須だと訴える見通し。
また医療ひっ迫は経済に悪影響を及ぼしており、280万人が長期にわたり病気を患っているために経済活動に参加できていないという。
スターマー氏は、NHSのデジタル化や、病院よりも地域社会でのケア重視、病気予防活動の強化などを推進する考えだ。