WTO、保護主義政策を批判 関税は低所得層により深刻な打撃
9月9日、世界貿易機関(WTO)は発表した報告書で、輸入関税は低所得世帯に特に大きな打撃を与える傾向があると指摘した。写真は昨年5月、中国山東省煙台市の港で撮影。国営英字紙チャイナ・デイリー提供(2024年 ロイター)
[ブリュッセル 9日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)は9日発表した報告書で、輸入関税は低所得世帯に特に大きな打撃を与える傾向があると指摘した。
WTOのオコンジョイウェアラ事務局長は、2024年の世界貿易報告について、貿易が世界の不平等を生み出しているという現在広がっている考えとは逆に、貧困削減と繁栄の共有における貿易の役割を再確認する内容だと指摘した。
WTOの報告書によると、世界的に見て制限的な貿易政策は、貿易関連の固定費増加に苦しむ低所得世帯や女性、中小企業に特に影響を及ぼす。全体としては、低所得世帯は関税引き上げによる負担がより大きくなる傾向があると指摘した。
米国では、現在輸入関税が免除されている中国からの消費財は主に、低所得地域の貧困世帯に恩恵をもたらしている。一方、高所得世帯は高所得国からの輸入品の消費割合が高い。
WTOは、保護主義政策は国内価格の上昇を招き、消費の縮小につながり、貿易相手国による報復措置を引き起こす恐れもあるとし、失策となる可能性が高いと指摘した。