アングル:ハリス対トランプ」TV討論会、互いに現状変革姿勢アピールか
9月10日、 米大統領選の民主党候補ハリス副大統領(右写真)と共和党候補トランプ前大統領(左写真)はテレビ討論会で初対決する(2024年 ロイター/Eduardo Munoz, Nathan Howard)
(5日午後7時配信記事の再送です)
James Oliphant
[ワシントン 5日 ロイター] - 米大統領選の民主党候補ハリス副大統領と共和党候補トランプ前大統領は10日、テレビ討論会で初対決する。
世論調査の大半をみると、全国的および多くの激戦州でハリス氏がわずかにリードしている。
両氏の討論会は今回が唯一となる可能性がある。注目点は以下の通り。
<意欲>
前大統領と現副大統領の対決となるが、両候補とも現状を覆す変革に意欲を示している。
ハリス氏はバイデン現政権の功績を自分の手柄として取り込もうとしつつ、自身の大統領就任が米国の新たなスタートになると訴えている。
トランプ氏は2017年から21年まで任期を務めたにもかかわらず、ワシントンの機構に抵抗する反乱者という立場を再び強めている。また、ハリス氏と比較した国際舞台での経験を強調し、自分ならウクライナやガザでの紛争を終わらせ、核武装した北朝鮮やイランから国を守ることができるとアピールしている。
<個人攻撃>
ハリス氏が候補者になって以来、トランプ氏はハリス氏のルーツの正当性を疑問視。討論会でこうした個人攻撃を繰り返せば、特にトランプ氏に大統領としての資質があるかどうか疑問を抱いている有権者や、まだ投票先を決めていない有権者を遠ざけてしまう恐れがある。
トランプ氏は16年大統領選の討論会で、民主党候補ヒラリー・クリントン氏を指さし、司会者の話をさえぎって頻繁に罵倒。20年にもバイデン氏に対して同じ戦術を試みたが、トランプ氏が何度も話をさえぎったため、バイデン氏は「黙ってくれないか?」といなした。
ハリス氏はこれまでトランプ氏からの個人攻撃をほぼ無視。トランプ氏が討論会でこうした態度を取った場合、ハリス氏がどう対応するかに注目する視聴者もいそうだ。泥仕合に引きずり込まれないことを示す必要がある。
<チャンス>
ハリス氏にとって、テレビで視聴する多くの米国民に自身の政治姿勢を示す機会となる。トランプ氏とバイデン氏の再戦はうんざりと考えていた有権者に対し、バイデン氏より知名度の低いことが大きな強みとなる可能性がある。
元カリフォルニア州司法長官のハリス氏は、21年1月の連邦議会議事堂襲撃事件を巡る疑惑を含め、トランプ氏に20年大統領選後の行動について責任を取らせようとする可能性がある。
ハリス氏の法廷での経験は、トランプ氏による虚偽の主張に効果的な反証を示すことを可能にするかもしれない。
トランプ氏にとっては、ハリス氏が国を運営する準備ができておらず、自分こそがその職にふさわしい人物だと訴える絶好のチャンスとなる。
今年に入り強化されるまで記録的な数の移民が米国に流入するのを阻止できなかったバイデン政権の国境警備政策や、高水準の消費者物価についてハリス氏を攻撃する可能性が高い。
トランプ氏は引き続き、21年の混乱した米国のアフガニスタン撤退とハリス氏を結び付けようとするだろう。「喜び(joy)」や「雰囲気(vibes)」に頼った選挙運動を展開してきたハリス氏が米軍最高司令官になる覚悟ができているのかという疑問が高まる可能性がある。
<脆弱性>
民主党はここ数カ月、トランプ氏には権威主義的な傾向があり、民主主義にとって危険だと主張。ハリス氏はこの攻撃を繰り返すほか、トランプ氏にとって最も脆弱な政治的課題の一つである中絶への反対についても追及とみられる。
ハリス氏の陣営によると、国境の壁やインフラ、そしてコロナ禍えのトランプ氏の失政にも焦点を当てる方針。またトランプ氏が企業に減税を施し、最低賃金の引き上げに反対したとして、在任時代の経済政策を非難するかもしれない。
さらに、不倫口止め料の不正会計処理を巡るトランプ氏の有罪評決などにも触れる可能性がある。
一方トランプ氏は、民間医療保険廃止や大規模クリーンエネルギー計画「グリーン・ニューディール」など、ハリス氏が20年大統領選の運動中に支持し、現在は否定しているリベラルな政策を視聴者に想起させようとするだろう。
ハリス氏は無党派層の支持を獲得するため、これらの点について説得力ある回答を示す必要がある。同氏はこれまで、大統領職に対するビジョンを大まかに示すにとどまっていた。トランプ氏と司会者はハリス氏に具体的な説明を強いるかもしれない。
ガザ紛争などの重要課題でハリス氏がバイデン氏と意見が異なるかどうか、また停戦合意を得るためにイスラエル政府にさらに圧力をかける用意があるかどうかも注目されそうだ。
*システムの都合で再送します
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