「イスラエルが新提案受諾」とブリンケン氏、ハマスは米国を非難
ブリンケン米国務長官(写真)は19日、パレスチナ地区ガザでの停戦に向けた米国の新たな提案について、イスラエルのネタニヤフ首相が支持することを確認したと明らかにした。(2024年 ロイター/Kevin Mohatt)
Humeyra Pamuk Nidal al-Mughrabi
[テルアビブ/カイロ 19日 ロイター] - ブリンケン米国務長官は19日、パレスチナ地区ガザでの停戦に向けた米国の新たな提案について、イスラエルのネタニヤフ首相が支持することを確認したと明らかにした。また、パレスチナのイスラム組織ハマスにも同提案を受け入れるよう呼びかけた。
ネタニヤフ首相との会談後、記者団に語った。
一方、ハマスは米国がイスラエルを優遇していると非難。幹部のオサマ・ハムダン氏はロイターに「ブリンケンはイスラエルが合意したと言い、その後イスラエルが最新の提案があると言っている。これは米国がイスラエルの圧力の影響下にあるのであって、その逆ではないことを意味する。われわれはこれはイスラエル側に時間を与える策略と考えている」と語った。
<紛争拡大懸念>
先週、カタールで行われた協議では進展が見られなかったが、イスラエルとハマスの間の隔たりを埋めるという米国の提案に基づき、今週交渉が再開される見込み。
しかし、ハマスが数年ぶりにイスラエル国内で自爆攻撃を再開すると発表するなど、現地では和解の兆しはほとんど見られず、紛争が地域に拡大する懸念が高まっている。医療関係者によると、ガザではイスラエル軍の攻撃により19日に少なくとも30人のパレスチナ人が死亡した。
こうした中、ブリンケン氏はネタニヤフ首相との会談について「非常に建設的だった。ネタニヤフ氏はイスラエルが米の提案を受け入れること、そしてそれを支持することを確認した」と述べた。
また、ハマスにもこの提案を受け入れる義務があると述べた。
これより先、ブリンケン氏はガザ停戦交渉が「決定的な瞬間」を迎えており、人質帰還に向けた「おそらく最善で最後の機会」だとの考えを示していた。
<困難な交渉>
米国が楽観的な見方を示し、イスラエル首相府も会談は前向きだったとしたものの、イスラエルとハマスはこれまでに合意は困難との見方を示している。
イスラエル軍がガザ地区、特にエジプトとの国境沿いで駐留を続けていることや、同地区内でのパレスチナ人の自由な移動、人質交換で解放される人数などを巡って意見の相違がある。
ブリンケン氏は交渉が困難であることを認め、「ハマスが提案に同意すること以外に課題となるのは、各当事者が約束を履行し、実際にこの合意をどう実行するのかという点について明確な理解を確保することだ」と述べた。
「複雑な問題だが、そのため専門の交渉官が取り組んでいる。ネタニヤフ首相はこのプロセスを完了させるために上級専門家チームを(カタールの)ドーハかエジプトに派遣することを約束した」とも語った。
ブリンケン氏はエジプトとカタールも訪問する。
エジプトの治安筋によると、首都カイロで今週行われる見込みの停戦協議は、エジプトとガザ地区を結ぶいわゆるフィラデルフィア回廊の安全保障メカニズムに関する合意が条件となっている。米国はこの地帯で国際的なプレゼンスを提案しており、期間が最長6カ月間に限定されるのであれば受け入れられる可能性があるという。