シンガポール中銀、現行の金融政策を維持 予想通り

シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は7月26日、予想通り金融政策を据え置いた。2013年2月撮影(2024年 ロイター/Edgar Su)
Xinghui Kok Yantoultra Ngui
[シンガポール 26日 ロイター] - シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は26日、予想通り金融政策を据え置いた。現状維持は5回連続。
ロイター調査ではアナリスト10人のうち9人が据え置きを予想。1人は緩和を見込んでいた。
MASは「シンガポールドル名目実効為替レート(SドルNEER)」として知られる為替レートベースの政策バンドの実勢上昇率(傾き)を維持すると発表した。政策バンドの幅と中心値の水準にも変更はなかった。
現在の政策設定は引き続き適切で、「輸入インフレと国内コスト圧力を抑制する効果を保つとともに、中期的な物価安定を確保する」と述べた。
MASは年内を通じて経済が加速し、潜在成長率(2─3%)に近づくと予想。「コストへの新たな衝撃がなければ、コアインフレ率は第4四半期により明確に低下し、2025年には2%前後までさらに低下する」との見方を示した。
今年の総合インフレ率見通しを平均2.0─3.0%と、従来の2.5─3.5%から下方修正した一方、コアインフレ率の見通しは2.5─3.5%に据え置いた。
OCBCのエコノミスト、セレナ・リン氏は「MASは25年インフレ率見通しがより穏やかな2%前後に低下するのを待ちつつ、現時点では(上下)両方向のインフレリスク見通しを維持した」と指摘。「これはコアCPIが第4・四半期により明確に低下するという確認もしくは確信を待つ間、今後の政策決定会合に最大限の柔軟性を与える」との見方を示した。
メイバンクのエコノミスト、チュア・ハク・ビン氏は総合インフレ率見通しの下方修正について、MASが次回10月の発表で政策を緩和する準備を進めていることを意味するものではないと分析。「経済が潜在成長率に向けて回帰し、コアインフレ率がやや粘着的となる中、MASは(政策バンドの)傾きを年内維持する可能性が高い」と述べた。