EXCLUSIVE-チャットGPTなどAIの基盤モデルで対中ロ輸出規制、米政府が検討
バイデン米政権が、「チャットGPT」などの生成AI(人工知能)モデルについて中国への輸出を規制しようとしている。写真は米国と中国の国旗。2023年2月撮影(2024年 ロイター/Florence Lo)
[ワシントン 8日 ロイター] - バイデン米政権が、「チャットGPT」など生成AI(人工知能)の要となる最先端基盤モデルについて中国やロシアなどへの輸出を規制しようとしている。AIに関する中国の軍事目的の技術開発を抑制する取り組みの一環で、関係者によると、商務省が規制案を検討している。
同省は、基盤技術を自社内にとどめるクローズドソース型AIモデルの輸出規制を検討しているという。
現在、「チャットGPT」を開発したオープンAIやアルファベット傘下のグーグル・ディープマインドなどのAI大手が、AIモデルを国外に販売することに規制はない。官民の研究者は、AIが強力なサイバー攻撃や生物兵器の開発に利用される可能性を懸念している。
商務省や在米ロシア大使館からコメントは得られていない。在米中国大使館は規制の動きが「経済的威圧や一方的な弱い者いじめの典型」と反発。国益を守るために「必要な措置」を取るとした。
輸出規制は中国とロシアのほか、北朝鮮、イランも対象になる公算が大きいという。マイクロソフトは今年2月、中国と北朝鮮の政府、ロシア軍情報機関、イラン革命防衛隊が関連するハッカー集団を特定したと報告していた。AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)を活用したサイバー攻撃の精度向上を目指しているとみられる。
関係筋によると、輸出規制の策定では、昨年10月発表のAIの安全性に関する大統領令で設けたAIモデル訓練に関する演算能力の閾値(いきち)を輸出規制対象を決定する基準にする可能性がある。
ただこの閾値に到達したAIモデルは現時点でまだない。AI関連の研究機関エポックAIによると、グーグルのジェミニ・ウルトラが閾値に近いという。
関係筋は、規制は策定段階で取りまとめの見通しは立っていないとしている。