「オゼンピック」など糖尿病薬不足し減量目的の偽造品増加=WHO

世界保健機関(WHO)は29日、デンマーク製薬大手ノボノルディスクの「オゼンピック」など減量目的でも使用される糖尿病治療薬が昨年、世界的に品不足に陥ったことと、偽造品と疑われる薬剤の報告が増加していることには関連があったと警告を発した。 写真はWHOのロゴ。スイス・ジュネーブの本部で昨年2月撮影(2024年 ロイター/Denis Balibouse)
Patrick Wingrove
[29日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)は29日、デンマーク製薬大手ノボノルディスクの「オゼンピック」など減量目的でも使用される糖尿病治療薬が昨年、世界的に品不足に陥ったことと、偽造品と疑われる薬剤の報告が増加していることには関連があったと警告を発した。
WHOによると、こうした偽造品はソーシャルメディアなど規制されていないルートで販売されており、効果がなかったり、中毒反応を起こしたりするなど、深刻な健康リスクを伴う。
オゼンピックのほか、肥満症薬として承認された米イーライリリーの「ゼップバウンド」(糖尿病薬としては「マンジャロ」)、ノボノルディスクの「ウゴービ」などの需要が急増し、これが偽造品市場の拡大に拍車をかける構図になっている。
2023年にノボノルディスクとイーライリリーの糖尿病薬は需要が供給を上回った。両社は増産に取り組んでいるが、需給の引き締まりは今後も続く見込み。
イーライリリーのデービッド・リックス最高経営責任者(CEO)は今月、ゼップバウンドについて、今年の供給が需要を満たせない可能性を示唆。ノボノルディスクも昨年8月、ウゴービは供給面の制約が24年まで続く公算が非常に大きいとの見通しを示した。
WHOはこれらの薬剤の不足の長期化と偽造品の増加は糖尿病患者の治療に影響が及ぶ可能性があると指摘。こうした医薬品の購入者には規制を受けた供給元から入手し、医療従事者には医薬品の適正流通基準を順守するよう勧告した。
ロイターは先週、米国で昨年、3人がオゼンピックの偽造品と思われる薬剤を使用して重度の低血糖症で治療を受けたと報じた。
オーストリアとレバノンの保健当局も昨年、オゼンピックの偽造品と疑われる薬剤の投与後、数人が低血糖症を発症し、一部は入院したと報告している。