国連、UNRWAへの資金拠出再開を要請 奇襲関与疑惑で処罰も約束
1月28日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員が昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲攻撃に関与したとされる疑惑で、国連側は、UNRWAへの資金拠出を一時停止している諸国に対して支援再開を要請した。写真はイスラエルの戦車。ガザ地区ハンユニスで27日撮影(2024年 ロイター/Ibraheem Abu Mustafa)tafa
Nidal al-Mughrabi Emma Farge
[ドーハ/ジュネーブ 28日 ロイター] - 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員が昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲攻撃に関与したとされる疑惑で、国連側は28日、UNRWAへの資金拠出を一時停止している諸国に対して支援再開を要請した。イスラエル攻撃に関与した職員は処罰すると約束しつつ、このままではパレスチナ自治区ガザ向けの支援活動が重大な危機に直面すると警鐘を鳴らした。
これまで米国やドイツなど少なくとも9カ国がこの問題で資金拠出を止めている。
国連のグテレス事務総長は「これらの国が抱く懸念は理解しており、私自身もそうした話を聞いてぞっとした気持ちになったが、資金拠出を停止した国の政府に対してUNRWAの活動継続の保証を強く求めていく」と述べた。
一方でグテレス氏は「テロ行為に関わった職員は刑事訴追も含めて責任を取らせる」と明言した。
UNRWAのラザリニ事務局長も、UNRWAが人道支援をストップせざるを得なくなる前に、資金拠出の決定を見直してもらいたいと訴えた。
ハマスとイスラエルの戦闘が始まって以降、ガザ市民230万人の大半はUNRWAが提供する支援への依存度が高まり続けている。ただ食料や医薬品などの支援物資はごくわずかしか届かず、本来なら治療可能な病気で死者が出たり、飢餓が広がったりといった事態が見られる。
イスラエルのエルダン国連大使は、テロ行為に関与した疑いがあるUNRWAの職員全員に対する徹底した調査を要求するとともに、グテレス氏がUNRWAへの資金拠出継続を促したことについて「グテレス氏にとってイスラエル国民の安全は全く重要でないことがまたしても証明された」と強く反発した。
これに対してガザ援助の現場で働く関係者らからは、少数の個人が犯した罪のせいで、子供たちを飢えさせないでほしいとの切実な声も出ている。